余計な物を持たない暮らしをスタートするのに一番必要なのは、断捨離や片付けではありません。
「こんまり」さんの「人生がときめく片付けの魔法」の最大の功績は「やる気」を引き出したこと。
それは、「やる気」です。
これまで、たくさんの物を持っていた人が、スッキリ持たない暮らしに至るには経過として片付けや断捨離が必要です。けれども、それ以前に「やる気」がないと、行動に至りません。本を読んで満足して終わってしまいます。
重要なのは「やる気」を引き出すこと
「こんまり」さんの著書が人気になったのは、私が思う最大の理由は、
やる気を引き出した
・・点にあると思っています。
片付けはメンドウくさい。
できれば避けたい。
見てみないふりをしていたい。
何とかしないと大変なことになりますよ・・・
従来の片付け指南では、しばしば不安をあおり立てられるようにして行うイメージがありました。
こんまりさんの登場以前に、多くのベテラン片付けのプロがいました。皆さん、真剣に相談者さんの立場に沿って多大な協力をしてはいます。けれども、しばしば相談者さんの「内面」に責任があるような雰囲気が多いのが気になっていました。
歌の雰囲気では演歌でした。
演歌調からポップス調の片付けへ。
ところが、こんまりさんの著書を初めて読んだときは、「違う」印象を受けました。テレビに何度か出演されていましたが、片付かない部屋の住人の精神面などには一切触れない。そしてただシンプルに一言、「物は必ず片付きます。」と可憐な容貌とは対照的に力強く現象だけに視点を置いてスタートしている様子が印象的だったのを覚えています。
歌でいえば、軽やかなポップスです。これまで演歌の世界だった片付けに、初めてポップスの軽やかなメロディが流れたような、そんな感じ。
処分の分別も「ときめき」で選ぶという何だか楽しそうな方法です。「これなら、私もできそう、楽しそう」初めて片付けにポジティヴなイメージを与えてくれたのではないかと思います。
人は「楽しそう」「面白そう」と感じたときに自ら行動を起こす
人が行動を自ら起すのは、自分にメリットがある場合です。どんなに正論を言われても、面白くなさそうなことやこれまでの自分を否定されたのでは、「やる気」が出ません。
ところが、初めて片付けの世界に「やる気」という旋風を引き起こしたからこそ、多くの人が片付けを実行する気になり、片付けの効果を実感したというのが大きいのだと思っています。
多少の違いはあるものの、そもそも片付けの方法のノウハウ自体に多くの意味があるわけではありません。重要なのは「やる気」を起して実際に行動する気持ちになれるかどうか、という部分です。
片付けのノウハウ自体は、オプションと興味を持つ「きっかけ」。
「ときめき」で選ぶとか、「たたみ方」とか「順番」などはあくまでオプションです。その方法自体に大きな意味があるのではないのです。
ただ、片付けるという「行動」をいかにして起すか、それこそが重要です。
こんまりさんの一連の様子は、片付けそのものよりも、日本人がアメリカ人に評価されたということよりも、「人に自ら行動してもらうことの難しさ」を多くの人が実感しているからではないかとも思いました。
これは、片付けだけではなく、広く多くのことに応用出来ると思います。