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『上級国民/下級国民/著/橘玲』書籍感想(書評)

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こんにちは ちゃくまです。

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上級国民/下級国民 (小学館新書)

はじめに

この本を読む事で、一番知りたかったことがあります。それは、

「結局のところ、希望が見える現実を獲得できるのか。」

という点です。本の冒頭に、

「社会的に解決できない問題も、個人的に解決することは可能」

という趣旨が書いてあったからです。同時にそれは、「万人にもたらすことが可能なの?」という問いでもあります。

本書を読む前の予想としては、歴史に学ぶ限りは「無理だろう」と思えます。でも、「現代は、過去の各時代とは違う新しい未来があるのではないか。」そうした期待もありました。AIをはじめ、前例にはないものや概念が多数生み出されているからです。

この本を読んで得られること

  • 今、自分が暮らしている世の中のことを知ることができます。
  • 今後、変化する世の中を予測をする視点を養うことができます。
  • 現実に目をそらさずに本音的な事実を「知る」ことができます。つい、マイナス的な現実には目をそむけたくなるものです。ですが、単なるポジティブ思考だけでは乗り越えられない事があるのも事実でしょう。
  • 世の中を見据えて、対処を早いうちから考えておくことが、今後の進むべき道を考えるヒントとして活用できます。

この本をおすすめしたい人

  •  変化が目まぐるしい現代の先における予測を知りたい方
  • 現代の社会の実態を知りたい方
  • これからの進むべき道を検討する参考にしたい方 

今後を予測するなんて、どこまで可能なのだろうか

冒頭の

「現状を知って今後の世界を予測できれば、幸福な人生を手に入れる大きな助けになる」

という趣旨について。現状を知るならまだしも、今後を予測するなんて、

「そんなことができるの?」

そんな思いで本書を読み始めました。

まず、冒頭部分の答えから。ずっと「いつ『答え』が出るんだろう。?」と思いながら読み進めました。ところが最後のページにも「答え」の記載がない。

「あれっ、どこ?」

と思ったら、ありました。「あとがき」に書いてありました。

それはこうです。まず、

「全ての人に向けた万能の処方箋はない。」

ということ。これが答えの前提です。

今後のトレンドは2つに分かれる

で、今後のトレンドは2つに分かれるという。

  1. 優秀なエンジニアの道
  2. SNSなどで多くのフォロワーを集めてマネタイズしているような人の道

エンジニアと言っても、私たちが普通に言うところのエンジニアとは全く意味が違うという点に注意が必要です。

学びのスタイルが激変する

本に書いてあることによれば、

「1についてはアスリートと同じように早期に学ぶ必要がある。だから社会人になってからとか、では遅すぎるし大学で学んでいるのでも遅すぎる」

という厳しい実態なのです。

だから大学でのんびり一般教養を学んでる暇などない、とのこと。ナノディグリーという学位を発行するオンライン大学出身の人材がテック業界で争奪戦になっている

 

ググってみますと、ナノディグリーとは、「とても小さな学位」のこと。従来のように長い時間を掛けて学ぶスタイルではなく、短期間で1つの専門に特化した学び方だそうです。

このような学び方が広まれば、大学をはじめとした学びのスタイルも激変しますよね。すでに、このようなスタイルは実行されているわけです。だから、国内での従来の学び方に固執するのは、当然、遅れをとる危険がありそう。

 インフルエンサー的な人

2については、

「いわゆるインフルエンサーと呼ばれるような人」

的な生き方ですね。 これは私達もピンと来やすい。

ですが、この本の冒頭で「社会的に解決できない問題も、個人的に解決することは可能」という趣旨がありました。ですがそれは、万人にとって可能という意味ではない点に注意が必要です。

こうした「2つの処方箋」に向き合えるのは

「ごく一部でしょう」

と言っておられます。

「まえがき」で「希望」の可能性を説きながらも、「あとがき」の答えでは、手放しで万人が得られる希望であるとは言っておられません。

わかりやすく説明するスキル

わずかに救いがあるとすれば、例えば「有名ブロガーやユーチューバ―」はムリでも、

「わかりやすく説明する」ことや「新しい情報をSNSで発信する」といったスキルでも、それなりの(あるいはひとなみ以上の)収入を得られるようになるでしょう。

という点でしょうか。

これは裏を返せば、上級、下級の差が開かざるを得ないのは止められないということです。

ここに書いてある「答え」は2つだけなので、欲を言えば、この「答え」についての情報がもっと知りたかった感があります。次回に期待します。

私達が生きる時代は知識社会の後期だということ

同時に、興味深いと感じたのは『「リバタニア」と「ドメスティックス」』の項目です。

まず、書籍に記載されたことを通じて、知っておきたいことがあります。それは私達が生きる時代(後期近代と記載されています。)は、知識社会だということです。

つまりは知識層に富が集中する時代です。同時に人は、各自の自由意志による自己実現を目指し始められます。

それと並行して、カジュアルな服に身を包み、柔軟なコミュニティや仕事をする人がいるジョブズのようなひとたちがいる一方で、トランプのような「絵にかいたような金持ち」がいる。

そうした分断と並行してトランプを指示する層とは「知識社会」に対応できない人たちでもある。実際にアメリカでは、白人であっても肉体労働者層の死亡率があがっているのだそう。トランプの勝利は、こうした「アメリカの見捨てられた人々を「発見」して支持者に替えて権力を手に入れたという流れが書いてあります。

ヤフコメ民の怒りとは

 そうした事と類似の気配は日本でもあります。その例が

「ヤフコメ民」は何に怒っているのか?

の箇所です。

 特徴はある分野に対する批判や攻撃ですが、それらの多くは、理性ではなく直感的情動だという点だそう。本ではヤフコメを例にしていますが、ヤフコメ以外でも、類似の例は割とありますね。それはいわゆる「炎上」の現象です。

で、「何に怒ってるの?」についてですが、この本には非常にわかりやすくその原理が記されています。それは、

「自分たちが多数派であるにもかかわらず、相応の利益を受け取る事が出来ていない。」

という点らしい。だから少数派の人たちの主張を「弱者利権」ととらえている点であり「多数派のアンダークラス」であり結果として下級国民意識につながるという流れが起きることが記されています。

その他の分断の事例のポイント

また、このような分類の例もあるそうです。

そして先進国の多数派のひとたちは2つの階層に分断される

  • エニウェア族・・仕事があれば、移動して生活できる人、外国人、LGBTにも寛容
  • サムウェア族・・地元で就職、結婚をして子育てしている人、個人より地域社会の秩序、宗教、伝統を尊重

こうした分断は、白人であるか否かのように、人種や民族で分断されているわけではないそうなんですね。理由は現代が知識社会である点です。ここでも分断は「知能」によるという特徴があるそうです。

例えば、東アジアでありながら国の出身地による誇示をするのは、言ってしまえば「それ以外に誇るものがないから」というわけです。

こうした方達をネット上でたまに見かけたとき、

「なぜに、その点にそんなに熱くなるんだろう」

と疑問に思ってました。それは本来多数派であるにもかかわらず、分断されてしまった抑圧感が原因だったのですね。

この本を読むときに注意したいこと

上級国民とか下級国民という言葉は、ある種タブーとされる言葉であるようです。現在、ウィキペディアでさえ、この言葉を掲載しないことになっているようです。

例えばベーシックインカムについての記述もそうですが、ポジティブな面ばかりに目を向けてきた方の場合は、戸惑いがあるかもしれません。 

情報洪水ではあるけれど

この本は、私たちがなかなか知ることができない真実であったり、「知らない方が良かったかもしれないこと」を目の当たりにする面があります。

けれども普段、私たちが得る情報はテレビとネットの割合が多いはずです。そうするとなかなか真相を知る機会がない一面があります。

そうした状況に遭って、著者はこれまでにも「なかなか知る事が出来ない真実」を本を通じて発信しています。ということは私達は普段、情報の洪水の中に入る様でいながら、実は限られて選ばれた情報だけを見させられている側面があるわけです。

だからこそ、このような本を定期的に読んで、真の情報を追加することは不可欠です。特に、「情報をどこから得るか」は重要なポイントです。

社会は変化しているが、人間は動物の1つである事実は変わらない

この本を読んで痛感するのは、なんだかんだ言って人間も動物の1つだということです。一見、複雑に思える現象も、本能だけで生きているかに思える動物の生態をひもとけば、結局はそれがそのままヒトにもあてはまるという側面もある。少なくともこれまではそんな傾向があったわけです。

ヒトは動物とは別格だと思いたい人間は、それを認めたくはない人が多い事でしょう。けれども、「人がなぜ、そういう行動をとってしまうのか」の原因を探っていくと実は動物の「本能」にぶち当たっていく面もある。

一方で人は進化を続けている生き物でもある。だからこれまではそうだったけれど、今後は違う道をたどる可能性は否定できません。

最後のページはどういう意味を持つのか。それは各自によって意味が異なるという点がポイントであるのでしょう。

「もしかしたら私たちは令和の時代のあいだに、臨界状態から相転移に至る「知識社会」の終わりを目の当たりにすることにんなるのかもしれません。

この文章を読んで思い出したのは、かなり前に見た映画「2001年宇宙の旅 (字幕版)

のラストシーン」です。あのシーンの解釈は、当時、意味が分からず混乱しました。ですが今は推測できます。あのシーンの意味は人間の進化なのです。

同時にそれは、皆が足並みそろえて起きることではない。例えば生物も海から陸に上がった者とそうでない者がいたであろうことと同じように、人も足並みそろえて進化に向かうわけではないでしょう。

この本で説かれた「分断」とは、その前段階であるという点に意味があるのでしょう。

その瞬間に自分はどちらの選択をする側にいるのか。そこに自由意志はあるのか。わからないことだらけではありますが、例の映画の解釈が、今ではすんなり予測できたと同じように、人そのものも変化をしているわけです。

 さいごに

この本は、 2019年4月に行われた講演をもとにまとめられた本なのだそうです。

もとの講演タイトルは

「リベラル化する社会の分断」

です。

この本は相当に興味深い本でした。 

 

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