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今朝(2016年2月26日)のNHK朝イチで低金利時代のいま、デパート積み立てが人気であるというテーマで放送されていました。一例を挙げると月に1万円ずつ積み立てると1年後には一か月分のボーナスが加算されるので満期になると13万円分の商品券が受け取れるというシステムです。仮にこれを現金に想定した場合、金利は銀行と比較にならないほど大きいので人気であるということです。一般的には「友の会」などという名目で積み立てをします。
番組中でも、注意点にも言及していましたが、本当に得なのか、それとも何か注意点があるのか、今回は、はじめに、主なデパート友の会の積み立ての概要を、後半にはメリット、デメリットをまとめてみました。
デパート友の会の一例
エムアイ友の会
- 加盟店・三越、伊勢丹、岩田屋、丸井今井各店
- 積み立てコース・6か月積み立て、12か月積み立て
- ひと月当たりの積立額・6か月積み立て・・5,000円・12か月積み立て・・5,000円~50,000円
- ボーナス・6か月積み立て2,000円、12か月積み立て5,000円~50,000円
- 形式・・エムアイカードにチャージ式
- 入会方法・店舗カウンターで本人のみ
高島屋友の会(ローズサークル)
- 積み立てコース・12か月
- ひと月当たりの積立額・5,000~50,000円、5,000円観劇コース
- ボーナス・5,000~50,000円、観劇コースは観劇招致
- 申し込み方法・店舗のほか、WEB入会あり(WEBで申し込み郵送で送られた用紙に記入して申し込み、郵送で会員証を受け取り)
大丸 (大丸松坂屋JOY Class)
- コース・6か月、12か月
- ひと月の積立額・6か月5,000円、12か月5,000~30,000円
- ボーナス・6か月2,000円、12か月5,000~30,000円
- 満期受取形式・友の会会員証カードに積立額分+友の会お買物券ボーナス分=満期受取額
- 小田急百貨店(小田急レディスクラブ)
- コース・6か月、12か月
- ひと月当たりの積立額・6か月5,000円、12か月5,000~30,000円
- ボーナス・6か月2,500円、12か月5,000円~30,000円
- 満期受取形式・会員証&お買い物カードにチャージ
- 注意点・申し込みは女性のみ
デパート積み立てのメリット
ボーナス商品券が多い
多くは、6か月コースはひと月5,000円の積み立てで、積立額30,000円に対して2,000円のボーナスがつきます。12か月コースはひと月、5,000~50,000円のコースで、ボーナスは積立額のひと月分が支給されます。いずれにしても、金利の低い今、銀行預金と比較するとかなりお得なシステムです。
買い物を計画的にできる。
例えば、クレジットカードなどの前払い式では、うっかり使い過ぎたり、引き落とし口座の残高をきちんと管理する必要があります。けれども友の会に積み立てた満期の商品券の範囲で使うようにすれば、使い過ぎの心配がありません。そもそも、すでに支払いは終わっているので、安心して買い物をすることができます。
優待セールや優待日にお得に買い物出来る
友の会会員になると、一般には非公開の優待セールや優待日にお得に買い物できます。
クレジットカードのポイントより得
いずれは確実に買う予定があるのなら、銀行に預金をして貯めてからお金を引き出して買うよりもお得です。同時に、クレジットカードで買い物をして付くポイントとは比較にならないボーナス利息分商品券が付きます。
提携ショップや施設でもお得に利用できる
提携ショップ、施設で友の会カードの提示で安く利用できます。
無駄遣い防止になる
現金も預金も、すぐに使おうと思えば使えてしまいます。ところが友の会の積み立ては簡単に解約できません。そもそもそのデパートに行かなくてはいけませんので、物理的なハードルが高いですね。それに加えて、満期になるまで解約しない限り受け取れませんから、すぐに引き出してしまえる普通預金や、街のいたるところにある銀行の窓口にいくよりも、「申し込みも満期の受け取りも手間がかかる」ことで、気軽に途中で中止しにくいわけです。そのため、いやがおうでも満期まで待つことになります。どうしてもちょこちょこお金を使ってしまい、安物買いの銭失いをしてしまう人にとっては、デパートでしか使えないものを積み立てることで、きちんとしたものをデパートで買うことに誘導される効果があります。
カードチャージ式の場合、現金を持ち歩かなくて良い
カードに買い物可能額をチャージされるものは、現金や紙の商品券を持ち歩かずに済みます。また、通常の商品券のように、お釣りが出るか出ないかと気にしなくて済みます。
買い物時の罪悪感がない
高額な買い物の場合、特に主婦は罪悪感があることがあります。けれども、コツコツ事前に積み立ててから買う事で、罪悪感を抱かず、計画的にまじめに買い物をしていると精神的な安心感があります。つい、安物買いの銭失いの買い物をする癖に困っている場合は、思い切ってこのようなシステムを利用するのも一つの方法です。
ここまで、メリットを挙げました。各デパートのサイトには、メリットしか記載がありません。けれどもデメリットも把握したうえで利用しましょう。
デパート積み立てのデメリット
規約内のデパートでしか使えない
積み立てた分は満期になると商品券で受け取ります。つまり、規約内、多くはその店でしか使う事ができません。
「買う」事でしか利用できない
満期になった時に、受け取る商品券は、そのデパートから買うことでしか取り返すことができません。銀行預金であれば、積んであるのは現金ですから、満期のお金は何にでも使えます。けれどもデパートの積み立ては使い道が限定されることに注意しましょう。
積み立てた本人しか使えない
満期になり、積み立てたお金は会員カードなどにチャージされる形で支給されるところがほとんどです。つまり、本人しか使えない事が原則です。サービスカウンターなどで買う通常の無記名式の商品券とは違うわけです。
つまり受け取った商品券を誰かに譲ることは(例えば、家族や身内にプレゼントなど)できません。一緒に買い物に行って、脇で「私がこれで払うわ」みたいな流れであれば、可能ですが、商品券事態を他の人に使ってもらうことはできません。
使えない種類がある
場合によっては使用できないケースがあります。デパートによって違いますので事前に確認しましょう。例えばセールや食品には使えない、一部テナントでは使えないなどです。
店舗が倒産すれば積立額が戻ってこない事がある
預金と違い、積立金の保証はありません。最悪の場合、積み立てた企業の倒産で、戻ってこないこないことがあります。
多くは店舗でしか申込できない
一部を除き、ほとんどは店舗の窓口で申し込みをしなくてはなりません。そのため、予想外に混んでいた場合や、忘れもの(印鑑、引き落とし口座のメモなど)があると、スムーズに申し込みができない場合があります。空いている時間帯に行くか、時間に余裕を持って行くことをお勧めします。必要な物はサイトで確認しておきましょう。
満期受取額の残高がわかりにくい
従来型の紙の商品券と違い、カードチャージ方式の事が多いですから、残高がわかりにくくなります。残高をメモしたものを残して置く等、管理をきちんとしておきましょう。
紛失の場合のリスクに注意
クレジットカードは保証があります。けれども友の会積み立ては不正使用や紛失による対応をよく事前に確認しておきましょう。おそらく、保証などはないと思いますので、扱いには十分注意しましょう。
ここまで、メリットとデメリットを挙げました。更に、申し込み時のちょっとした注意点を挙げてみます。
デパート商品券の積み立ての注意点
申し込み時に注意する事
- 事前に用意する物、積立方法、来店積立に必要なものなどを確認・・店舗カウンターで申し込みをする場合は、必要な物をサイトで確認しましょう。例えば、引き落とし口座番号、銀行印、初回積立金などです。
- 店舗申し込みしかできない店舗がほとんどですが、一部、高島屋などのようにネットで用紙を請求して、郵送で提出、郵送で会員カードを受け取れところもあります。各店舗で違いますので注意しましょう。
- 満期受取形式は店舗により異なります。全てが一枚の会員カードにチャージされるところが多いのですが、大丸のようにボーナス分はチャージではなく別の形式で渡す形式があります。
まとめ
預金金利が低いという情報に、イメージだけで行動しない事が重要です。例えば日銀のマイナス金利はあくまで日銀の金利です。さらに一部の複数の銀行の普通預金金利が0・001%ですが、あくまで普通預金の金利です。確かに低すぎて笑えない金額です。
けれども冷静に考えましょう。そもそも普通預金とは、貯めるための講座というよりも、一時的にプールしておくために使っている方がほとんどでしょう。同時にプールしてある期間も短期です。利子を考慮した預金は普通預金以外の口座で管理している事と思います。
将来的にどうなるか不明とはいえ、現状ではあまりに低すぎる低金利は普通預金だけです。そして友の会積み立ては長くて12か月、1年と短期がほとんどです。もちろん、目的に合えば利用も良いですが、低金利にあおられるように、何となくそちらに移動することはよく考えましょう。
確かにボーナス分はお得です。けれどもデメリット、注意点を把握したうえで利用しましょう。そして利用の際は、初めに買う物の予算と購入時期を見極めることが大事です。そのうえで積立額を決めましょう。お一番いけないのは「何となく積み立てをして、何となく目的もなく積立額を消化するために買い物する」事です。
得とはいえ、現金ではありませんから使える範囲が限られているという事をよく認識して利用しましょう。また、その店舗の経営状況をよく調べて利用しましょう。
また、積立をした分は買い物でしか消化できません。そのため、目的に合わず無駄な買い物をすれば、かえって損をすることもあります。そのバランスをよく考えて利用することが大事です。