収入を増やすことも重要ですが無駄な支出をしない事が先決です。たとえば「収入があと3万円増えれば生活が楽になる」と思うかもしれません。けれどもお金の使い方が正しくない限り、3万円でも、10万円でも100万円でも家計にゆとりが出ることはありません。
収入を得るのは大変ですが、使うのは簡単です。だから収入を増やしても使い方が良くないと常にお金が不足する状態を変えることはできません。
お金が足りなくなるのは、浪費やギャンブルなどをすることだけが原因ではありません。「特に贅沢をしているわけではない。普通の庶民の暮らしをしているだけ。それなのに、いつもお金が足りない」という人はけっこういるようです。
こういうタイプの方は、たとえ収入が増えても依然として金欠に陥ります。それは「贅沢をしていない」「普通の使い方をしている」という言い訳の元に、実は小さな積み重ねの浪費を繰り返しているからです。
収入を増やすより、無駄な支出をしない習慣が重要
収入を増やすために普通に「パートに出かける」等の方法なら良いのですが、「楽をして手間をかけずに収入を増やしたい」と考える時は注意が必要です。というのは、世の中にはそうした心理をカモにしようと狙っている業者、人、がたくさんいるからです。つまり「パートに出かける」ことのような一般的な収入の取得以外の方法では、「手っ取り早く」「私だけが」収入を増やしたい方法は相応のリスクがあるのです。
それに対して「無駄な支出をしない体質はリスクがゼロ」です。そして一生使える技術です。
それでは、贅沢をしていないのに、金欠になる人の特徴を挙げます。自分が該当していないか確認してみます。
特に贅沢をしていないのに、なぜか金欠気味の人の特徴
- 所得に対して住居費が高い(家賃、住宅ローン)
- 持ち家のリフォーム、メンテナンス、庭に多大な支出をしている
- 所得に対して住んでいる地域が高所得層
- 自動車を2台以上所有している
- 所得に対して教育費の割合が高い(塾、習い事、私立校など)
- 数千円程度の服やバッグを頻繁に買う
- 国内旅行、外食の回数が多い
- 顔が広く、様々な交流の場に出席している
- ダイエットに興味がある
- アルコールが好き
それぞれの詳細
所得に対して住居費が高い(家賃、住宅ローン)
世間の基準はあくまで目安
一般的な目安として、住居費は収入の30%以下言われています。住宅ローンの借入限度額の目安は、年収400万以下では30%以下、400万以上では35%以下とされています。
けれども、30%以下であれば生活に支障がないのでしょうか。収入の30%以下の家賃だから適切なのでしょうか。住宅ローンの場合は借りられる金額と、実際に無理なく返済できる金額は違います。住宅ローンは「無理なく返済できる金額」に設定することが必要です。
家賃は一度関わると住む限り発生し続ける
家賃や住宅ローンは一度開始すると、住み続ける限り、家にいる時間が少なくても無条件に支払いが発生します。しかも毎月、確実に、です。何となく見栄や外見や内装が気に入ったからという程度決定すると大変です。無理のある住居費は固定費として毎月どころか延々と家計を圧迫します。
割合だけで判断するのは危険
収入に対して30%以下の割合の住居費でも単身世帯、夫婦だけ、就学中の子供がいる4人家族では、それぞれその他の支出が違います。「30%以下だから大丈夫」と思っていると、とんでもないことになります。
例えば、一人暮らしの食費と、4人家族の食費は違います。また、単身世帯と4人家族では交際費、レジャー費、教育費などの支出には多大な違いがあります。そのため、割合だけで判断すると、資金が不足する事態になります。
持ち家のリフォーム、メンテナンス、庭に多大な支出をしている
住居は買って終わりではない
戸建に住むと、近隣に同じころに新築した家が多数存在することがあります。するとメンテナンスの時期が同じ時期になることがあります。この時、注意が必要なのはメンテナンスを行う時に見栄を張ることです。例えば屋根の塗り替え、壁のメンテナンス、外構工事などを行う時に「ご近所よりも見栄えよく」とか「ご近所もしているから我が家も」のように競争意識が働いたり、必要でないのに高額の方法を選んだりする方がいます。
過剰なメンテナンスやガーデニング、DIYなどの支出に注意
また、メンテナンスのときに「こちらの高い方法で施工すれば、当分の間はもうメンテ不要でお得ですよ。」というセールストークを受け入れてしまう例があります。家計の状況を把握しないまま、当初より何倍も高い予算をかける人がいるそうです。
技術は日々進歩しています。ですから、数年後には、もっと安くて良いメンテナンスの技術が生まれているかもしれません。ところが資金もないのに、高額のメンテナンスで家計を大きく圧迫してしまっては本末転倒です。企業に例えれば、何も考えずに多額の設備投資をするようなものです。
植物の苗は安いが、土やプランターなど意外と費用が必要
節約のイメージがあるDIY、ガーデニングは、実はかなりお金がかかります。たとえば、テレビで見た「スノコとカラーボックスを利用した簡単な手作り家具」を作るために材料をそろえるとします。スノコは安いですが、細かい材料が必要です。結局、簡単な家具でも実際に作れば最低でも一万円くらいかかります。
また、ガーデニングもお金がかかります。一株300円の花の苗を3個買って「たかが千円」と思ったら大間違いです。それを植えるための土、肥料、消毒剤、プランターなどを買うとあっという間に1万円近く出ていきます。そして草花は一つ植えると次も植えたくなります。一見、お金がかかっていると見えない安い草花でも、いざガーデニングをしようとすると、かなり費用が発生します。
所得に対して住んでいる地域が高所得層
一般に、その地域に即したスーパーが存在しています。富裕層が多い地域は安いお店が少なく、高級スーパーがある、などです。子供を含めた交流が始まると、幼稚園の送り迎えの時の服装や、ママ友ランチなど「普通」がお金のかかることになりがちです。
見た目の問題だけではありません。会話の内容も、富裕層と庶民の普通は違いがあります。このときに引け目を感じないために、周囲に合わせた服装、持ち物、行動をするようになります。その結果、いつの間にか支出が増えてしまうということがあります。
普通自動車を2台以上所有している
自動車は子供が小さい、車がないと不便、といった理由で持たざるを得ない場合は有ります。けれども、「利便性が良くないために不動産物件の価格が安い地域」を選択するときは要注意です。
このような場合、住居費が安く済みますが、その分、交通に関する別の支出が増えます。例えば、大人一人に車一台必要になる、子供の送り迎えが必要になり、ガソリン代がかかる、何とか公共の交通機関を併用しても、その交通費も余計にかかる、などです。時には送り迎えに親が時間を奪われて疲労することもあります。疲れると、つい惣菜や外食割高な半調理品に頼ってしまう事がありますので注意が必要です。
所得に対して教育費の割合が高い(塾、習い事、私立校など)
「子供にはできるだけのことをしてあげたい。」親心はわかります。けれども分相応にしなければ、子供が進学する前に教育費が不足する事態も想定できます。また、最近問題になっている奨学金という名の実質ローンを抱えて新卒の段階から負担を抱える若い人が増えています。
教育費の「普通」は住む地域に大きく影響されます。富裕層が多く住む地域では多くの人が高額な塾や習い事に通わせています。また、当人たちはそれほど収入が多くなくても、実はその親、つまり子供から見て祖父母が実は裕福で資金を出しているなど目立たない裕福さのある人もいます。こうしたことに気づかず「周りが塾や習い事に通わせているから」と考えると、予想以上に家計を圧迫しますから注意します。
数千円程度の服やバッグを頻繁に買う
数千円程度の物でも、買う回数が多ければあっという間に数万円分になります。遠慮して安いものを買ったつもりが結局はブランド品を買うのと変わりない支出をしている例があります。「ちりも積もれば山となる」です。買い物の際には長い期間でトータルいくらになっているかを考えたほうが良いです。
国内旅行、外食の回数が多い
意外にも、海外旅行よりも国内旅行が割高です。遠くに行かなくても近場でも一泊以上出かけると、通常の観光ルートは「お金を落とすように」出来ています。高城剛さんの著書に書いてありましたが、実は海外での移動よりも日本国内を出るまでの移動費に費用が多くかかるのだそうです。
「普段は節約をしてお金を貯めて旅行に行く」など、的確な予算の範囲であれば問題ありませんが、何となく「連休だから2泊三日の旅行に行こう」と考えるとあっという間に大金が飛びます。
顔が広く、様々な交流の場に出席している
人との交流は楽しいものです。けれども、その集まりに見栄が行き来していないかを見直す必要があります。家族ぐるみの交流になれば、冠婚葬祭、入学、進学、誕生日など様々なお祝い事などの出費も増えます。それ自体を否定することではありませんが、負担に感じているなら少しずつ縮小することを検討します。
ダイエットに興味がある
ダイエットの基本はシンプルです。「基礎代謝と動くために必要なエネルギー以上に食べない」ことです。ところが「好きな物を飲み食いしたいけどやせたい」と思うから、いろいろなダイエット方法商法の格好のカモになるのです。
アルコールが好き
食事自体は価格相応でも、食事をするたびにアルコールを飲まずにいられない性分の人はお金がたまりません。付き合いも増えやすくなるので、その分支出は増えます。
さいごに
見栄が最も高くつく
ここに挙げた10の項目に共通することがあります。それは「見栄」です。実際以上に自分を良く見せたいという心理です。「見栄とは小さなウソ」です。ウソは、一つつけば、芋づる式に次々ウソをつく必要が出てきます。つまりは一つの小さな見栄のために次々別の見栄というウソをつき続けなければならなくなるのです。
その分、余計な支出が絡みます。それらは一見、大きく目立つことではありません。だから本人も自覚してストップしなければならないとは思いにくいのが怖い点です。普通の家計をうまく回すために必要な事は、収入を上げるよりも、余計な支出をしない事です。これが出来なければ、たとえ収入が増えても同じことを繰り返します。「お金を使うのは簡単」だからです。