家庭料理を外食のように作る必要はありません。
プロの料理人の料理は非日常のためのものです。当然ながら家庭の味よりインパクトを持たせなくては商売が成り立ちません。だから、プロの料理と家庭の料理は根本的に目的が違うのです。
目的が違いますから、味付けや工程もプロのやり方が最善とする必要はありません。「こういう食感や味付けが美味しい」というのも、あくまで外食としての概念です。
炒めご飯はゼッタイ「パラパラ」でなければいけないか?
例えば、ご飯を炒めて作るチャーハンは、テレビで「パラパラのチャーハンを作る方法」などが紹介されています。
これによって「チャーハンはパラパラでなくてはいけない」「パラパラの炒めご飯でなければ美味しいとは言えない」という概念が出来上がります。
子供の頃、チャーハンやピラフを「パラパラかどうか」なんて気にする人はいません。ところが成長の過程で何度も「パラパラのチャーハン」などの表現を目にします。そのうちに自分の好みと無関係に「パラパラでなければチャーハン失格」の価値観が生まれます。
プロの料理人のワザを再現しない
確かに外食産業としてのチャーハンはパラパラ出なければいけないでしょう。けれども家庭でそれに倣う必要はありません。外食とは違い家庭では個人の好きなように作れば良いのです。さらに、調理の家庭もプロのようにする必要はありません。チャーハンを作るためには、一般的に厚手の鉄のフライパンなどを用意して強火で加熱をします。さらに具材を入れるタイミングに気を使い、さらに何度も重いフライパンをゆすって具材を飛び上がらせるという工程で作業します。けれども、こうした方法では普通の主婦には負担が大きいのです。少量ならなんとかなりますが、家族全員分を作るとなると、まず無理です。重量の関係で無理があります。
放置しながら炒めご飯を作る
たとえば我が家のある日の家族3人分の炒めご飯は、こんな風に作りました。全て冷蔵庫にある残り物利用です。
- 普段、予想外に家族がご飯をあまり食べなかったり、夕食が不用になったりします。ごはんが不定期に余るので冷凍しておきます。段々たまってきます。休日の昼食時などに炒めご飯を作るなどして消化します。
- 玉ねぎはカットして冷凍してあったので、手間いらずです。
- 具材はその日、冷蔵庫に「あるもの」で作りました。
- 調味料はしょうゆとこしょうだけです。ラム肉からうまみを感じますのでそれ以外の調味料は不要です。
- 脂分を気にしなければ、ラム肉にお湯を回しかけずに、そのまま初めにカリカリに焼いてその脂分とともに作ることも良いでしょう。
材料
- 冷凍ご飯
- 冷凍してカットした玉ねぎ
- 冷凍していたラム肉
- 冷凍グリンピース
- しめじ
- しょうゆ
- こしょう
作った手順
- ラム肉を電子レンジで解凍する
- 冷凍ご飯を電子レンジで解凍する
- ラム肉をザルに入れて熱湯を回しかけ、脂とアクを落とす(しっかり湯切りする)
- フライパンに冷凍してカットしておいた玉ねぎ、ラム肉を入れて火にかける
- しめじの根元を切って洗ってザルにあげておく
- 玉ねぎ、ラム肉に火が通ったら、ごはん冷凍グリンピースを入れて炒める
- しょうゆ、こしょうで味付けをする
- しめじを入れて軽く混ぜ合わせる
- フライパンの中で具材を広げる
- 3~5分、そのままにする
(フライパンをゆすったりせず、ひたすら放置中) 11・軽く焦げ目がつき始めた頃を見計らい、底面から具材をひっくり返すようにしながら全体をざっくり混ぜる
(フライパンの底に接したところが軽く焦げ付き始めている状態)
12・完成
炒めご飯を作るにしても、分量が多く、フライパンも重いです。そのため、テレビで見るプロの料理人のように、フライパンを片手で持ち、具材が宙を舞うように動かすなんてことはできません。
軽く焦げ付かせて風味を出す
そこで、「軽く焦げ付かせる」手法で、べたつかず、風味を出すようにしています。具材にある程度火が通り、味付けが済んだら、フライパンに具材を広げてしばらく放置するのです。
すると、フライパンの底に接している具材が焦げ付く寸前になります。ちょうと、「おこげ」になる一歩手前を見計らい、底からすくってひっくり返すようにざっくり全体を混ぜ合わせるのです。
すると、程よく香ばしい風味が出て味のアクセントになります。「焦げ付く寸前」のタイミングは具体的な時間ではなく、においと音で判断します。よくわからないときは、すくって様子を見れば良いでしょう。
このようにすると、「パラパラ」とはいきませんが、重いフライパンを持ちあげるというようなことをしなくても、おいしく食べられます。
プロのワザを取り入れなくても料理は作ることが出来る
パラパラにするには、具材を宙に舞わせて具材同志を引き離すことでパラパラになります。ところが、この方法の場合は、逆です。あえて具材を底にくっつけて、放置するのです。
味のアクセントや風味、食感は、「炒めご飯はパラパラでなければ」だけとは限らないのです。
こんな感じで、自分流にアレンジすれば、「力が必要」と思われる炒めご飯も、実は難なく作ることができます。
さいごに
料理の方法はプロの料理人のワザがベストだと思っている人は多い事でしょう。けれども、外食の料理を作るプロとはつまり非日常の料理を作る人であるということです。
こうした方々は、家庭の主婦とは違う効率や、パフォーマンス、味や見た目のインパクトがなければ、お金を払って料理を食べにきてもらえないかもしれません。
全てとは言いませんが、そのワザやテクとは、家庭の主婦の料理とは「違う」事を表現する一端もあるということです。
ですから、家庭で作る料理は、そうした物に近づけようとする必要はそんなにありません。あくまで「そういうやり方もあるのか」位で良いのではないでしょうか。