「サピエンス全史」という書籍は、書店に行くと必ず目につく場所に置かれています。ですがこれまで、手にしたことがなかったので、今さらながら買ってみました。これまで、書店に行っても、冒頭ページを立ち読みすらしなかったのにはわけがあります。
「サピエンス?」生物系の本?「全史」とあるから歴史書?・・いずれにしても、歴史はともかく、興味を引くタイトルではありませんでした。私にとって。
ですが急に何となく気が向いたので手に取ってみたわけです。そして冒頭のページを読んでみたら「あれ?けっこうわかりやすいし、おもしろそう。」というわけで買いました。
本はハードカバーです。ハードカバーはめくりにくいので好きではありません。このくらいの厚みは本としては普通ですが、本文は文字はちょっと小さめで、改行も少な目なので厚みに対して文字数は多いです。
それから、帯に「ビジネスマン必読の」とありますが、ビジネスマンに特定してしまうのはもったいないと思われます。
(上下合同版もあるようです。)
現時点では上巻の感想です。
一見、教養を深めるための本というイメージがあると思います。ですが実際に読んでみると本の根底に流れる著者の思い主張が結構多く含まれています。「教科書」として読むには個人の主観が多めなので、その辺は認識しつつ読む必要があります。もちろん、主観といってもかなり緻密な説明なので一見、そうとは感じさせないところが著者の筆力でしょう。
もちろん、どんなものでも人が書く以上は主観が入らない物なんてありえません。広い意味では教科書でさえ、その時点で最も権威ある人側が事実ぜんとして記載するわけですから。
さて、ではこの本の根底に流れる著者のメッセージは何か。それは「差別」に対する警告です。本には生物としてのヒトの歴史と流れが細かく冷静に説明されています。なぜ、著者がそうした説明を緻密にするのか。それは世の中のありとあらゆる形態の差別に気付かせることです。「私は、これほど緻密にヒトの歴史を認識したうえで、公平な立場と視点から差別を指摘しているのですよ。」というところでしょうか。
上巻をざっくり読んだ読後感想はこんなところです。