お歳暮やご年始、クリスマスなどで贈答品をやり取りする季節ですね。
今回は贈る側の立場になった場合、
「相手に謙遜をしすぎるとかえって気を遣わせ時には疲れさせてしまう」
という事例を踏まえた話です。
「あれね、大失敗なのよ。」
贈答品が届いたのでお礼の電話をかけました。ところが開口一番に先方から出た言葉です。さらに話は続きます。
味が今一つだった。
色が悪い。
量が少なくて不満でしょ?
と。
頂いたのは生の食品でした。少し味見をした後でしたが、十分美味しくて有り難く受け取っていたのです。
ところが先方の方から出る言葉は自虐的な言葉ばかりです。さらには「私があの品質で納得いかないのだ。」という様な事を言います。
本人にしてみれば謙遜のつもりなのかもしれません。また、先方の方が言うように、いつもはもっと高品質なのに予想に反して今一つだったのかもしれません。
けれども、そんなことは、こちらにはわかりません。私は
「早速、少し頂きましたがとても美味しかったですよ。」
と言いました。
それでも先方の方は
「納得いかない。あんなに質が悪いなんて、ねえ。」
と続きます。もしかすると、これは「つまらないものですが。」の変形バージョンなのかもしれません。
けれども先方の方があまりに自分が贈った物を「謙遜」するので、私は「これでもか」というほどに相手を持ち上げることを言う状況になりました。
今回の品はとても良い品だったこと。
いつも気を遣って良い物を選んで送ってくれること。
贈答品に限らず、いつもありがたいと思っていること。
などです。
もちろん相手の方は全く意識していないに違いありません。実際に、ようやく考えうる限りの褒め言葉を言ったところで、やっと相手の方は「あらぁ。」と電話の向こうで笑顔になったのがわかりました。
謙遜は難しいと、この時思い知りました。この後、電話を切った私はどっと疲れてしまったのは言うまでもありません。ごく普通に、
「ありがとうございます。」
「どういいたしまして。」
位の流れで済めば、なんて言うことないやり取りで終わります。
- 謙遜は難しい。
- 変にへりくだらないほうがいい。
- 相手が言ったことを素直に受け止めればいい。
- 普通に応答すればいい。
そう感じた一件でした。
贈り物は相手に喜んでもらいたい一心で選んでいるものでしょう。けれども、その思いを押し付けない方が良いのです。
こちらがどんなに心を込めても、相手には相手の受け止め方があります。だから「喜んでもらおう」と期待をしすぎないことです。
同時にあまりにへりくだり過ぎると反対の立場になったときに、かえって難しいと感じさせます。「こちらが贈った品物の採点が厳しそうだ」という印象を持たせます。
実際は苦労して選んだ品物であっても、自然に静かに贈ればそれでいいのです。