この本は普段、本になじみのない人や、時間のない人でも手軽に読めるようにか、要所にマンガが取り入れてあります。文章量も少なめです。ですが短時間で、夢物語ではない現実を教えてくれます。
この本は若い年代の人は目を通しておくべきです。同時に全ての年代の人も目を通しておいた方がいい。特に自分が庶民で凡人だと思うなら、なおのことです。
今回は「凡人」の私(達)が、「どのような選択を取るのが正解か。」についてのおすすめ本を紹介します。
人が「めんどうだからやらない」ことをやって得るのが仕事
2019年4月に施工された法律(働き方改革関連法)を挙げ、ひろゆき氏は「好きな仕事で働く」危うさを指摘しています。
その理由ですが、仕事とは本来、そういうものだから。「そもそもが仕事って誰かがやりたくないことを代わりにやるもの」とのこと。
だから「やっていて苦じゃない」くらいを目指すことを提案しています。
やりたい人がたくさんいる業界は低賃金になりやすい
そして「やりたい事や、好きなことは搾取されやすい」とも。
例えば現代であればアニメーター、ゲームクリエーター、プロゲーマーなど。他には絵を描く仕事や芸能人を挙げています。こうした仕事は「やりたい人」がたくさんいるから低賃金になりやすいのだそうです。
仕事とやりがいを同じところに求めるから矛盾が起きてしまうのでしょうね。
一方で高収入の仕事は、多大な準備や能力が必要であることが多いわけです。ところが「好きなこと」は必ずしも高収入に結び付くわけではありません。
ところが「仕事」にかける比重が、現状では大きすぎると思っています。そこで最近は「副業」や、将来の本業を得るために「インフルエンサーのサロンで何かを学んでみよう」と考える人もいます。
いわばこうした言動は「好きなこと」と仕事を両立させたいという思いがあってのことでしょう。
サロン受講生はカモ
ところがひろゆき氏は、インフルエンサーが主催するようなサロン受講生について、「受講生が対価に見合うメリットを得られるかは怪しい」と思っているとのことです。
私が抱くサロンのイメージは、「入ることで何かやった気になってしまう場所」ではないか、という懸念です。もちろん、全てでの人がそうではないでしょうし、あくまで学んだことを、どう生かすかは各自の活用次第ということはわかります。
けれども、本当にサロンが言うような効果を挙げたいのであれば、そもそもが自分単独でさっさと実行しているはずです。
それがサロンに入ることによって「何か行動を起こしたような気になってしまう」欠点があると思っています。なぜなら、そもそもがサロンに集まる人自体が、「何かやらなくては」という意識は高いけれども、単独で行動することを恐れているように見えるからです。
資本主義社会において、裾野ではなくトップに上り詰めたいのであれば、同じような人と『つるんでいる暇』はないはずです。たいていの場合、トップにいる人はある種孤独です。孤独と言うと日本では良くないイメージが先行します。ですがそれはカン違いです。
現在、サロンを開催していたり、入会して切磋琢磨している方には申し訳ないのですが、正直そんな印象があります。
ひろゆき氏が発言することで「そうかもしれない」と気が付くきっかけになることでしょう。
凡人だからこそ大学は出ておいた方がいい
「 4大卒の下駄が必要な人は多い」という項目があります。一方で最近は「大学は出なくていい」という意見を見かけます。けれども、現実はなんだかんだ言って、たとえFランであっても大学を出ている意味はあるのです。ひろゆき氏は言います。
「とりあえず大学は出ておけ」
多くの「凡人」の場合は、普通にしていれば得られる「下駄」は履いておいたほうがいいということですね。
その理由として意外な事実があるとのこと。例えば就労ビザと大卒の関係などについて触れています。
確かに、グローバルな時代において、
「外国で仕事をしたい」
となっても、大卒であれば何の問題もないことが、高卒であるがために切符を手に入れられないことが多々あるわけです。
他にも様々な資格試験の受験資格に「大卒」であるケースは多々あります。もちろん、これらは大卒以外でも選択肢があったりするわけです。ですが、たとえFランでも大卒でさえあれば難なくクリアできてしまう。それを考慮すると、凡人ほど大卒の切符を確保しておくことは利にかなっていますね。
若い時の4年間を無事にクリアさえできれば(大卒)、あとは一生「大卒」の肩書という切符を持てる。
もちろん、大卒だからと言って「収入に反映されていない」とか、「学費がかかる」といった点がある。それにしても、若くて健康なうちであれば「何とかなる」。最近は給付型の奨学金も出ていますしね。
サラリーマンがお金持ちになれないのは税金が高いから
サラリーマンがどんなにがんばってもお金持ちになれないのは当たり前です。それは税金の高さです。
この本では例えば、
年収1500万のサラリーマンの税金と社会保険料で500万持っていかれてしまう。一方で、3億円を超える株の配当金は20%。同時に金持ちを優遇しない社会の実現が不可能なことを挙げています。
では、「庶民はどうにもならないのか?」という疑問が沸きますよね。これについて、ひろゆき氏は「個人のしあわせ」を得る重要性を説いています。
しあわせを突き詰めると、実はお金の有無ではないことがわかっていくわけです。ところが「お金がないからしあわせになれない」とか「不安だ」と思うのは「これを持っているから、しあわせ」みたいな虚像が深層心理に植え付けられていると思うのです。
ひろゆき氏は現在、年収が3千万くらいだそうです。けれども決して生活レベルを上げることはしないそう。なんと生活費は5万円程度だとか。
貯金をしておいた方がいい理由
結局のところ、多くの人が理想とするお金持ちとは、単なる浪費家に過ぎないそうです。つまり家、車、洋服、外食、旅行のお金を使える身分がお金持ちだというイメージがあります。ですがそれって、ひろゆき氏が言うように、単なる浪費なんですよね。
ノーベル賞を受賞したダニエル・カーネマンの「面白い研究結果」として本書で取り上げられているのは、「人生の評価」「主観的な幸福感」です。簡単に言えば幸福感といったところでしょうか。それによると幸福感は年収630万を超えるとあとは変わらないという研究結果が出たそうです。
ひろゆき氏は、これを受けて
年収630万→手取り400万
が分岐点ではないかと書いています。
ただし、だからと言って、収入を全部使いきってしまえばいいかと言えば、そういうことではないと忠告しています。一般的なイメージとは反対に、かなり冷静ですよね。
「ある程度のお金をなぜ、貯めておいた方がいいか」
について、こう書いています。
人間はお金の欠乏を感じていると、思考力が落ちるのだそうです。いわゆるエビデンスとして挙げているのは心理学教授エルダー・シャフィールの研究成果です。
ビットコインにつぎ込むより専門学校に使う方がマシ
貧乏人がカモられる理由も、それで説明がつくそう。同時に、ひろゆき氏は言います。
「ビットコインに一か八かでつっこむくらいなら、専門学校に通って、技能を積み重ねる方がよっぽどマシです。
私たちが注意しなくてはならないのは、レアケースの成功者のサクセスストーリーです。レアだからこそ物語になるのです。
確かに、誰でも夢を持っていいし、可能性がゼロだとはいえません。ですが実際は、いわゆる「成功」している人は意外なほどに目立っていないようです。むしろレアケースの人の場合は、波乱万丈だからこそメディアで取り上げられる。だから目につきやすいのだとも言えます。
だからこそ「当たり前」のことを当たり前にやろうという人の事は、なかなか取り上げられることはありません。ですが堅実な人は、ほとんど目立った失敗をしないので知られることがありません。ドラマチックでないからネタにならないのです。
例えば「好きな事で生きていく」と言えば耳障りがいいので、聞く耳を持たれやすい。一方で
- 大学は出ておけ
- 貯金をしておいた方がいい
といったことは古臭く頑固に聴こえるから、無視されやすいのです。
けれども、きっとひろゆき氏の言うことなら、若い年代の人でも聞く耳を持ってくれそう。
さいごに
- そもそも大学に行かない
- 大学をやめる
- 会社をやめる
- 貯金はいらない
- サロンで学ぶ
- 好きな仕事をする
- 年収が高ければ幸福感が増すはず
このような選択は最近、インフルエンサーと呼ばれるような人が推奨している傾向にあります。
一方でひろゆき氏は、これらにはすべてNOと言っています。
意外なほどに現実的で、地に足の着いた道を指南しています。
非凡人の場合は、これらにYESと言って良いのでしょうが、凡人の場合はNOと言った方がいいわけです。
果たして自分が凡人か否かは、すでに大人であれば現実がわかっているのではないでしょうか。
まとめ
ひろゆき氏の書籍の主な箇所のまとめ
- 好きなことを仕事にしようとすると、低賃金にならざるを得ません。
- また、搾取されやすくなります。
- そもそも仕事は「人がやらないこと」を代わりにやって対価を得るもの。
- 「苦じゃない」程度を仕事にすればいい。
- サロン受講は対価の割にメリットが少ない
- 大学は出ておこう
- 貯金は必要
- ビットコインより専門学校の方がマシ
現実を見据えて自分が普通の人であることを自覚しよう。
そうすれば、搾取されたり、無駄な遠回りをしないで真の幸せを得ることも可能です。