この本を読むには、覚悟が必要です。
タイトルからして、第一相当に厳しい。
難易度が高い。
このタイトルがもし、こうだったら難易度は低いでしょう。
ー書きたいことを、書けばいい。ー
この本をおすすめしたい人
- 「単なる趣味、ではない文章」を書きたい方。
- 他者に「読まれる」文章を目指す方。
- 多数ある「物書きの指南書」を読んだけど、ピンと来ない方。
この本を読んで得られること
他者に発する文章の神髄を知ることができます。もっとも、「書く」動機と目的は様々でしょうが、
「何かを書くらいならば、じぶんにも出来るのではないか。」
と思う方は多い事でしょう。
けれども、いざ始めてみると、形にならない。そんな思いでこの本を手にした方は多いかもしれません。
この本を読んであらためて気付くことがあります。それは、「読まれる」文章が難しい原因です。
それは、「読みたい事」ではなく「書きたい事」を書いているためだったのです。
この本を読むときに注意したいこと
この本を読むには1つ、コツがあります。書いてある通りに読む事です。推測で読まないことです。
タイトルから受けやすい、推定する印象は、頭から取り払いつつ読んだ方がいい。
さらに注意点があります。この本は、一般的な本と構成が違います。たいていの本は、大事なことは前半に、後半はおまけ的な内容で配されていることが多いんです。ところがこの本は違います。大事なことは、後半以降(第3章以降)に書いてあります。
この本は、文字が大きいし、読みやすい。スイスイ読めます。それが第一印象です。特に前半はユーモアを感じます。だから「誰でも簡単に書ける」ことを示す内容だと推定しやすい。
ところが実は、前半から受けるイメージとは反対に、後半にさしかかると、急変します。ある意味、厳しいくらいの「書く」ために必要な真実が書かれています。
だから手っ取り早く、コアをつかみたいのであれば、後半(第3章)から読むのも手かもしれない。
前半で、一見読みやすく感じる部分で、油断してしまいやすい。ようやく、第3章にたどり着いたときに、うっかり読み流したり誤読してしまうと、大事な教えを獲得できないので大損します。
この本の文章量と読みやすさ
第2章までを読んで、
「この位の事は知っている。」
とカン違いをしやすい。
でも、おそらく後半の文章が、著者にとっての機密情報(!)なのです。だから、そこにたどり着くまでの読者としてのテストなのです。
第3章以降に書いてあるのは、「他者に向けた文章を書くにあたり必要なこと。」です。結論を言えば、それには「例外的な王道はない。」ということ。 基本を忠実にこなすこと。それが最重要ポイントなのです。
すぐに実践したいと感じたこと
文章を書くことは、頭の中で考える以前に、ファクト集めが大部分を占めるということです。つまり「書く」とは、そのための資料集めがものをいう。そうした具体的なノウハウは第3章以降からようやくスタートします。
文章を書くとき、「楽をしよう。」と手を抜いた場合、事前の準備がおざなりになってしまいやすい。結果として、あいまいな文章ができあがるというわけです。
本文によれば、「おもしろさとは、入念な調査による事実がもたらすのであり、個人の主観や、ましてや書く人の技量とは別のところにある」ということです。
特に印象に残った文章
つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。少しでもおもしろく感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。
事象とはつねに人間の外部にあるものであり、心象を語るためには事象の強度が不可欠なのだ。
書くという行為において最も重要なのはファクトである。
一次資料に当たらなければ話にならないのである。
さいごに
この本が売れているということは、
「文章を書いて、何らかの成果を出したい。」
と考える方が多いのでしょう。
けれども、世の中にあふれている大半は、書き手(書きたい人)ばかりが多く、読者が少ない状態なのではないでしょうか。
つまり、誰もが「書く」を通して「自分語り」をしたがっている。けれども、それを読みたい人はいないというアンバランスな世界です。
では、「他人が求める文章、つまりは読み手のいる文章とは何か?」
を問うたときの答えとは、「個人の主観はほぼいらない」のだそうです。
もちろん、芸能人とか一部の有名人の場合は主観的文章が好まれる例外はあります。けれども多くの場合、人が求める文章とは「自分も読みたい文章」なのです。
つまり「書きたい文章」ではない。
一見、わかっていたつもりになっている事実を、改めて認識させられた本でした。
読後間で言えば、私の場合は禅寺に座禅に行き、パシッ・・と喝を入れられた心境です。
「読みたい事を書く」というのは、実は難易度が高いし書く準備も大変だという事です。
まとめ
この本を読むには、覚悟が必要です。
以下の方にこの本をお勧めします。
- 「単なる趣味ではない文章」を書きたい方。
- 「読まれる」文章を目指す方。
- 多数ある「物書きの指南書」を読んだけど、ピンと来ない方。
多くの方が、「読みたい事」ではなく「書きたい事」を書いています。
- この本は、大事なことは、後半以降に書いてあります。
- 前半の、一見読みやすく感じる部分で油断して読み流してしまうと損をします。
- 他者に向けた文章を書くにあたり必要なことは、書く前の準備です。つまりはファクト集めです。個人の主観はほとんど不要なのです。
- おもしろさとは、その人の外部にあり、内側にあるのではないのです。
- 「他人が求める文章、つまりは読み手のいる文章とは何か?」を問うたときの答えとは、「個人の主観はほぼいらない」ということです。
- 芸能人や有名人の場合は、主観的文章が好まれる例外はあります。けれども多くの場合、人が求める文章とは「自分も読みたい文章」なのです。
- 「 読みたい事を書く」のは難易度が高い。それは、自分が求める文章とは、どこかの誰かが書いた自分語りではないからです。