今回は、「今すぐ節約をしたくなる」新たな視点の本を紹介します。特に他人の目線が気になってしまう人にはおすすめです。
- 節約できない最大の原因は見栄
- 収入が上がっても支出が増えれば結果は同じ
- 収入に応じた生活をしない
- 浪費と気付かない支出に注意する
- 浪費に反映される支出はリターンがない
- 質素な暮らしと幸福度は比例しない
- 服装は3種類もあれば十分
- 見栄もマウンティングもしょせんは「同じ穴のムジナ」に過ぎない
- さいごに
節約できない最大の原因は見栄
この本は「節約」がテーマです。
ですが一般的な節約指南本とはかなり違います。
節約ネタは常に人気の的です。
けれどもダイエットや断捨離同様、なかなか「コレ」と思える方法が見つからずに困惑している方が多いのではないでしょうか。
それはなぜでしょうか。
それは多くの場合、見栄や他人の視点を意識しすぎているからです。
けれども頭ではわかっているつもりでも、わたしたちはつい、他人との比較でお金を使ってしまうことがよくあるわけです。
この本を読むと、そうしたお金に対する根本的な視点を得ることができます。
結果としてお金の節約だけではなく、生き方そのものの概念も見直すことができるようになります。
実は節約をするには重要な概念があります。
それは「自分を生きる」ことです。
つまりたいていの場合、節約を恥と感じたり、つい浪費に走ってしまう原因は、自分を生きておらず、他人との比較や他人の視線を意識してしまうからです。
この本を読むと、あらためてそうしたことの危うさと、バカバカしさを感じます。
収入が上がっても支出が増えれば結果は同じ
結局、収入が増えても支出が増えれば結果は同じなのです。
「収入が上がっても貯金が増えない。」
このような現象を経験している方も多いと思います。
実際、我が家でも過去には似たような経験があります。
夫の給料が上がっているのに、年あたりの貯蓄額はほぼ平行線・・という現象です。
その原因は、子供に関する支出など、必要経費が増えているからだと思っていました。
けれども冷静に考えれば、収入が上がったことと比例して支出が増えているだけだったのです。
それらの多くは、必要な支出であると勘違いをしていたために、無駄に気が付きにくいという特徴があります。
収入に応じた生活をしない
また、著者は収入に応じた生活をする必要はないと説いています。世の中に出回っている「収入に対する支出割合の目安」より見重要なのは金銭感覚だといいます。
特に家賃に関する具体的な経験談が挙げられていますが、これには私も経験があります。
結婚したばかりの頃、はじめは一般的な価格のアパートを借りて住み始めました。地方なので、そもそもがマンション自体がなく、新婚時代にはアパートに住み、子供が幼稚園か小学生くらいに家を購入するというのが近隣の「常識」だったのです。
けれどもそれらの「常識」こそが、そもそもの「無駄に気付けない支出」のひとつであったといえます。
実際、我が家でも子供が幼稚園の時に家を新築しました。当時事前の貯蓄を頑張ったかいがあり、予想より多く頭金を用意することができました。
それで気が緩んだのか、新築の家に住み始めてからは、「夢」だった買い物や支出をかなりしたと思います。一応それらは、事前に計画&用意していた手持ちの預金から捻出したとはいえ、今にして思えばバカなお金の使い方をしたと思います。
浪費と気付かない支出に注意する
特に当時はガーデニング&DIYブームでした。日々、それらの趣味にあけくれました。ご近所さんにそれらを褒められたりすると内心、うれしく自尊心をくすぐられたりしたものです。
戸建のガーデニングやDIYの経験がある方はわかると思いますが、一見、ささやかな趣味に思えるこれらの支出は莫大な費用がかかります。
ちょっと花の苗を買ったり、肥料や消毒の材料を買ったりすると一万円札がそのたびに吹っ飛ぶのです。
浪費というとブランド品の服やバッグを買ったりするような事だと思われがちです。一方でガーデニングやDIYは浪費とはみなされにくいのです。それよりも節約しているようにさえ映ります。
けれども実際は、ガーデニングやDIYであろうが、ブランド品の服やバッグを買い過ぎることだろうが、不要な支出であるならばそれらは全て浪費なのです。
もちろん、ガーデニングもDIYも、服やバッグの買い物も、予算と結果を綿密に計算したうえで携わるのであれば、この限りではありません。
浪費に反映される支出はリターンがない
支出には有用なものとそうでないものがあります。有用でない支出は、ただ消えていくだけです。
そのことに気が付いたのは、その家が不要になったときでした。
夫の転勤のため、その家を手放したのですが、当然ながらガーデニングやDIYは査定価格にも実際の売値にも全く反映されない要素なのです。
しいていえば「きれいに使っている」ことや「日当たりが良い」ことが目に見えてわかりやすいため、そうした立地の印象がいくらかアップするくらいのものです。
家の売値はあくまで売主が売りたい金額で売るとはいえ、やはり「相場」より高くても安くても問題なので、結局は査定に近い「相場」で売るのが基本なんです。
つまり査定に無関係なガーデニングやDIYの要素はムダ以外の何ものでもなかったということです。
さらにガーデニングもDIYもつきつめれば「他人の視点」を意識していなかったと言えばうそになるでしょう。
このような形の見えにくい浪費もあるということを、知っておいた方がいいでしょう。
質素な暮らしと幸福度は比例しない
現在住んでいるのは75平米の住まいを経て約65平米の賃貸ですが、当時の戸建の約120平米と比較すると、およそ半分の面積です。
しかも当時は庭があり、普通自動車を2台所有していましたが、現在は自動車を所有していないので、客観的な見た目はかなり質素に暮らしているといえます。
けれども戸建に住んでいた当時の私の判断は、無駄の塊であり、バカだったと思います。現在の住まいが狭いから幸福度も半分かと言えば、そんなことは全くありません。
もちろん、子供が小学生くらいの頃は、「戸建でのびのび育てた方が良かったのか?」と思ったこともありました。
けれども家が狭いので、必然的に家族間の距離が近くなります。ムダを減らすために少ないモノで暮らす快適さにも気づくことができました。
そうした中で「本当に大切なことは何か」を意識するようになりました。住まいという器の大きさと人の幸福度は無関係だということにも気が付きました。
服装は3種類もあれば十分
「格好は基本3種類で十分」という項目があります。著者によれば、ジョブズやオバマの「いつも同じ服装」のような理由ではなく「単に面倒くさいから」であり、服を買う目安は「破れて枚数が減った時」だそうです。
破れるまで服を着るというのは今の時代、反対に難しいくらいです。ユニクロやGUでいくらでも安い服を変えるからです。
例えば私は昨日、ユニクロのチラシを見てフリースを買い足したくなったのをこらえました。セール価格で千円台で新しいフリースを買えます。
けれども今着ているフリースはまだ着られます。言ってみれば「違う色を着たい」という誘惑にかられたのですが、洗い替えなら他の服でいくらでも代用があります。
現代はお金を使うより使わないことの方が難しく、困難を極めます。そこで買えるから買ってしまうことと、買えるけれど買わない自制心が数年後の結果に反映されます。
見栄もマウンティングもしょせんは「同じ穴のムジナ」に過ぎない
著者はある時期に2020年に引退することを何となく決めたそう。この本は2016年の出版ですが、2020年を目前にして今も考えは変わらないのかと気になるところではあります。
それはともかく、著者はそれまでに仕事と貯金をして以後をお金に縛られない生活をする準備期間と考えているそうです。
同時に節約が要にもなるわけですが、そこで不可欠なことは見栄を捨てることだそうです。同時にマウンティングも。
考えてみればマウンティングとは、状況が似ている人同士の間で行われます。全く違う立場の人同士でマウンティングをすることはあり得ません。
同時に他人の目線や見栄も全く立場が違う人を視野に置くことは普通、ありません。ということは「他人」も「見栄」も、しょせんは同じ穴の狢(むじな)で行われることです。
以下にそれらにこだわることが、バカバカしいことかということがわかります。
さいごに
とは言え、日々暮らしているとついつい、無駄な視点を意識して無駄な浪費をしがちです。
ですので、私は時々この本を開き、忘れているかもしれない概念を思い出すために読み返しています。
そのたびに具体的で、この著者ならではの独特な言い回しと感覚を受け止めることができます。