IKEAにあるレストランが、なぜ順路の中央にあるのか理由をしっていますか?
Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法
『Think Smart 』書籍の流れ
著者は、スイスの博士号を持つ作家でもあり、実業家です。このような幅広い見解がある方が書いた52の「不幸を避ける」ノウハウです。
それぞれには全て、根拠となる信ぴょう性の高い研究と実験結果に事例も添えられています。
また、どんな時に私たちがうっかり「すべきでないこと」に足を踏み入れてしまうのかの具体事例も添えられています。
そして各項目の最後には、「結論。」という締めくくりの言葉を合図に、事例のまとめが効率よく記載してあるので腹落ちしやすい流れになっています。
各項目ごとに、一息つきながら読めるので、スキマ時間にチョコチョコ読み進められます。
各項目の流れは
- 事例→現象の名称
- 信ぴょう性の裏付け→研究効果を発表した研究機関の名称→実験の流れと結果
- 結論→世の中に起きている同様の事例→読者が応用できそうなこと、どういう点に注意すればいいか
という流れになっているので読みやすい。
イメージとしては、メンタリストDaiGoさんの動画みたいな流れを連想しました。
メンタリストDaiGoさんの動画が好きな方は特に、興味深く読めるのではないかと思います。
通常、こうした書籍で気になるのは主張の裏付けです。その点、この本では裏付けがしっかり書いてあるので、不安になることなく読み進めることができます。
『Think Smart』で印象に残った内容を紹介
それではいくつか、印象に残った項目を紹介します。
先延ばしをしてしまう理由とは
新年の抱負が達成できないわけ
「始めてから成果ができるまでに、時間がかかる」からなのだそうです。そしてその時間を切り抜けるには通精神力が必要になる。だからこそ、私たちは先延ばしをしてしまうそうです。
ここには心理学者が実際に行った実験をもとに精神力を維持することの難しさを証明している事例が紹介されています。
いわゆる「クッキーを食べることを禁止された学生たち」は、難しい問題を解くのはクッキーを好きなだけ食べられた学生たちの半分の時間で諦めたと言う実験結果です。
自制心を働かせたことで精神力を使い果たしてしまった結果問題を解く石の力が残されていなかったわけです。
じゃぁ、実生活でどのように自制心を維持すればよいのでしょうか。そのためには期限を設けることそしてさらに期限を何段階かに区切ることが秘訣だそうです。
この記事 ↓も、実は同じ視点で書いたものです。この話、実は
「大きな課題は何段階かに区切って解決する効果」
の話なんです。
ただ、記事にはそうした説明は添えていません。ですので真意に気付いて読んだ方は少数だったかもしれません。
つまり大きな目標を1つ掲げたならば、それに必ず期限を設け、さらにその期限を何段階かに区切ると言うことが秘訣と言うことでしょうか。
決断疲れを回避する方法とは
批判比較しすぎると良い決断ができなくなってしまうわけ
IKEA内のレストランは、常々「なんでこんなところにレストランがあるのか」と不思議には思っていました。その理由がこの本に書いてあったわけですが、まさかの決定疲れを一旦解消するための措置だったとは、「さすが」という感じですね。
確かにIKEA内を歩いていると、膨大な商品があるので、見ているだけでも疲れてしまいます。結果、選べなくなってしまうんです。「もう何も買わなくてもいいかなぁ。」と思ってしまいます。
ところがIKEAは、そういった客の心理をよくわかっているわけです。客が何も選べなくなってしまうころ(売り場の中央あたり)に一旦食事をし、エネルギー補給してもらうことで、再び決定するするための判断能力をチャージさせるわけですね。
普段の生活でも、重要な決断の前にはエネルギーと休息をとることが大事なんですね。同時に、空腹だったり、疲れているときには重要な決断はしないほうがいいみたいですね。
努力の正当化に惑わされない方法
労力をかけたものが、大事に思えるわけ
ちょうど先ほど事例にあげられた、IKEAがまた登場します。IKEA効果と呼ばれる軽度の「努力の正当化」の事例です。
「自分で組み立てたIKEAの家具は、高価なデザイナ上より価値があるように感じられる」と説です。
同じような事は、自分で苦労して作ったもの全てにおいても言えるそうです。それだけではありません。
組みたて家具やDIY品だけではなく、デザイナー、コピーライター、製品開発者、に置いてすべて同じようなことが言えるそうです。
私たちが時間と労力を費やした時は、その努力を過大評価しがちだそう。
なので結果を見ることが大事だということです。
確かに時間と労力を費やしたときには、その成果を自分も期待しています。効果が挙げられているはずと思いたいものです。
けれども結果が伴わない場合もあります。特に労力を費やしたときには正確な判断ができなくなっているので、一歩引いて現実をよく見るということが大事なのでしょう。
数字を盲信しない理由
数字は机上で改善できてしまうわけ
(ウィル、ロジャース現象)
この項目は裏を返せば、怖いと思いました。本には、「何もせずに業績が上がったように見せかける方法」などがいくつか挙げられています。また、数字の印象を良くすることも簡単にできてしまう事例が皮肉っぽく挙げられています。
例えば、監査役会からチャンネルの視聴率を上げるように求められ担当者の例や、ヘッジファンドのファンドマネージャーの事例です。実際には利益は1ユーロも出ていないのにもかかわらず、机上の数字の操作で合法的に良い成果を上げているように見せられている事例です。
1番怖いのは、医学の分野での事例だと忠告がなされています。ここに挙げられているのは操作をする側の皮肉な事例ですが、操作される側であればこんなに怖い事はありません。
占いが当たる理由を知っておく
占いが当たっていると感じるわけ
(フォアラー効果)
女性は占い好きだと言われています。そしてのめり込んでいる人の多くが、口を揃えて言うのは大体こんなことです。
「当たっている!」
ここの項目には「、あなたの性格を正確に言い当てる方法」や「性格判断を信じてしまう4つの理由」や「本物を見抜く方法」などが記されています。
特に苦笑してしまったのは、最後の「本物を見抜く方法」です。具体的に本当に占い師が当たっているのかを確実に確かめる事例です。気になっているならば、ぜひその最後に書いてあった方法を試してみてはいかがでしょうか。思い込みを外すきっかけになるかもしれません。
さいごに
ここには52あるうちのほんの一部を紹介しました。どの項目も知っておきたい内容です。これまで取られてきた方法は「どうすればプラスになるか」です。対してこの本は「どうすればマイナスにならないか」です。
確かに世の中に多数ある「成功物語」は魅力にあふれます。それはある意味波乱が話題に事欠かないからとも言えます。いっぽうで、目立たないけれど確実に真の成功を遂げている人は波乱が少ないので話題に乏しいのかもしれません。
けれども、実は多くの人に必要なのは波乱に満ちた成功ではなく、失敗の少ない平和の上に成り立つ成功なのです。
冷静に考えればわかりそうなことが、盲点になって気付けないことは多々あります。こうした思い込みを外し、わざわざ「苦労を買わない」生き方こそが今、必要な手法なのだと思います。

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法
- 作者:ロルフ・ドベリ
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2020/01/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)