今回は、最近、次々とベストセラー本を出版している、ひろゆきさんこと「西村博之」さんの新刊を紹介します。ひろゆきさんは、匿名掲示板「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」の生みの親でもあります。
内容紹介
今まで多くを語ってこなかった彼の時間観を通して、
なまけるのが苦手で、頑張りすぎちゃうビジネスパーソンに
「成果社会で生き抜くための時間の使い方」を伝えます。
Amazon「内容紹介」より引用
ひろゆきさんの著書は、ご本人がほとんど書いてはいないそうです。
ひろゆきさんの書籍は多数出版されています。ですが実のところ、ひろゆきさんが直接執筆している箇所というのは、ほとんどないらしいのです。書籍にもよるのでしょうが、例えばひろゆきさんが直接執筆したのは「あとがきだけ」とか、そんな感じらしいです。
もっとも、こうしたことはひろゆきさんに限らないようです。ホリエモンこと堀江貴文さんもそんな感じらしいです。では、どうやって本の内容が執筆されているかというと、これまでネットその他で発言したことを、要は「編集」して一冊の本ができあがっているとのことです。
こういうことを知っても、私はひろゆきさんの著書を買って読みます。確かに、ずっと発信する発言をくまなく追っていれば、書籍の内容にあたるのかもしれません。
ですが単純に、そうした発言を追うのは大変です。また多数ある発言から、自分にとって必要なものをすくい取ることは、多大な手間がかかります。
さらには、自分にとって必要な発言を聞いても、聞き逃しているかもしれません。
その点、このように書籍にまとめられたものは便利です。テーマを絞り、それに沿った発言がプロの編集者によって、効率よく段取りよい配置で読むことができるのです。
ごくたまに、ひろゆきさんのユーチューブ動画を拝見することはあります。実際、「パッと質問者さんの文面を読んだだけで、よくとっさに的確な返答を次々されるものだな。」と驚きと感動を覚えます。
とはいえ、それをずっと聞き続けるのは時間的にも大変です。ですので、普段はこうした動画その他の発信はあまり追わずに、書籍が出たら読むことにしています。
元になっている発言はもちろん、ユーチューブ動画だけではないでしょうし、この本はどのようにして執筆されたのか(インタビュー等を介しているのかなど)はわかりません。
それでも、例えば「無料で聴けるユーチューブ動画を聞けるから書籍は読まなくていい。」とは思いません。
動画等には動画等の良さがありますが、書籍で改めて読める方が情報がまとまっているので、本の方が圧倒的に楽で効率的です。
特に印象に残った箇所
それでは今回の書籍について、特に印象的だった箇所を紹介します。
好きなことをする生活
僕の日常生活はというと、ひと言で言えば「好きなことをしている時間が大半」 の毎日です。
です。今はフランスのパリに住んでいて、だいたい月1くらいのペースで日本に行きます。
好きなことをして、好きな場所に住むのも自由なんですよね。ところがどうも、世間の波に乗ることばかりにとらわれていることに改めて気付かされます。
フランスのパリに住むなんて夢のまた夢という意識が起きがちですが、そういう道を選択することは十分可能なわけですね。
ただ、私を含め多くの場合は、何らかのきゅうくつさを感じてはいても現状維持を選んでしまうのかもしれません。
とりあえず日本にいれば言葉の心配はないですしね。
幸せを感じる時間の秘訣みたいなもの
以前、友人が「舌を肥やすな、飯がマズくなるぞ」なんて言っていて、そのとおりだなと思いました。
これは私も同感です。例えば(今は飲む頻度をかなり減らしていますが)コーヒーは自宅でで普通のインスタントコーヒーを飲んでいます。ネスレの普通のものです。
きっかけは2011年の震災で断水に遭ったことでした。このときこれまではそこそこ選んでレギュラーコーヒーを飲んでいました。ところがそれは洗い物が増えるのでインスタントに変えたわけです。
ところが久々に飲んだコーヒーはインスタントなのにとてもおいしかったのです。何より暖かい清潔なお湯を口にできることが嬉しかったのです。
考えてみれば、美味しいコーヒーはたまにカフェに行った時に楽しむ事にしました。そうするとどんなコーヒーでも「おいしい」と思えます。ところが以前はそうではありませんでした。
味にあれこれうんちくめいたことを自分なりに評価しては好き嫌いを思っていたのです。思えばこれはふしあわせなことです。
ところが今はたいていのコーヒーはインスタントでないというだけで満足できます。
同様にそれ以外の食材も同じです。もちろんある程度のボーダーラインはあります。だけど必要以上に選り好みをしないと決めたら、楽になりました。
頭を使わない時間をあえてつくる
人間の脳は、頭を使わない単純作業をしているときのほうが、思考しやすいようにできています。
つまり頭を使わない時間が大事だということですね。確かにそういえば、私の場合は朝の寝起きにいろんなことを思いつきます。
同様に昨日、いくら考えてもわからなかったことが、朝、目が覚めた時にアッサリ「あ、そうか」とわかることもよくあります。
これは朝という時間のせいだと思っていました。けれども、それだけではなく眠ったことで頭を使わない時間があったから、頭が回り出したということなのかもと思いました。
「ねばならない」を気にしすぎない
もう睡眠の「適正な時間」とか、あまり気にしなくてもいいんじゃないでしょうか。
最近、睡眠は大事だという情報が増えています。実際、睡眠は大事だとは思います。ところが睡眠の時間を確実に確保しようとしたとき、たまたまその日はたいして疲れていなかったとか、あまり頭を使っていなかったときなど、体の状態は様々です。
実際、あまり疲れていないときは、眠くならず寝付けないとか、朝、早く目が覚めて別に睡眠不足の感じもしないときでもそのまま寝続けるのはどうなんだろう?と思っていました。
考えてみれば体の状態も生活も様々です。眠い時は眠くなるし、おきたいときは目が覚めます。
それを無理に眠ろうとしなくてもいいんじゃないかと思いました。でも半信半疑でどうしたらいいのだろうと。そこにこの本のこの個所を発見して「そうだよね、いいよね。(起きていたいときは起きていても。)と思いました。
要は「しなければならない。」と自分を何かの枠にはめてしまおうとする行動が一番よくないという事なのでしょう。
仕事って実は頭より体を使うこと
だから、 仕事って「体を動かす」ことがメインになる場合が多くて、「頭を使う」ことはかなり少ない と思うのです。
「忙しいことがカッコいい」とか、「必要とされていること」だと思いたい人が多いのに対して、仕事の内容を冷静に俯瞰すると実は「頭を使うことは少ない」と気付いているのはまさに「王様は裸だ」と言っているに等しいと感じます。
薄々気付いていても、それを声に出せる勇気がある人は少ないと思います。けれどもそろそろ真実に目を向けるべきときなのでしょうね。
毎日コツコツが正解とは限らない
トルコのことわざに、「明日できることは、今日やるな」というものがあります。
夏休みの宿題は計画的にやるのが善と誰もが信じて疑いません。けれどもそれはわかりませんよね。
私が以前、勤務していた会社では、期限のある提出物を必ず期限最終日の時間もギリギリに出していました。
当然、勤務している社員は当日、大忙しです。同時に「どうしてもっと余裕を持って提出しないんだろう。」と思っていました。
当時は理由がわからず、方針に従っていました。今になってわかりますが、そのほうが良かったのです。
というのも、前提として、期限内に提出すれば、ギリギリだろうと全く問題はありません。一方で早く提出すれば気分だけはスッキリします。けれども仮に何らかの変更があった場合は、いったん提出した物を訂正する手続きはかえって面倒なことになります。
同じ事は夏休みの宿題にも言えるし、コツコツ計画的に終わらせた宿題は、コツコツやるたびに機動力が必要です。
それに対して最終日に一気にこなした宿題は、トータルの労力は最小限です。
緊迫感があるし、もし間に合わない場合の事を考えると、微妙ですが、コツコツが最善とは限らない考えを持つこと、は必要だと思えます。
いい加減8時間労働から離れよう
なぜか人類は、1世紀以上前と変わらず1日8時間働いているのです。
様々なテクノロジーが進んでいるのに、一日8時間から減らないのは確かに変ですよね。在宅ワークがもっと進んだっていい。
考えてみれば労働のうち、通勤という労働や会議や式典、会合などの形式のための集まりの労力もかなりのムダですよね。今回はこんな事態にあっても幼い子供を集めた形式の場が今だ催されています。
本当は不要な労働や手間をもっと減らせば、人の思考も変わってラクに生きられることでしょう。
努力ではなく勝てる環境を利用するだけ
『銃・病原菌・鉄』(草思社)という本で読んだのですが、なぜ、数では圧倒的に劣る白人(スペイン人)がインカ帝国を征服できたのかというと、ひと言で言えば、「スペイン人が、東西に長いユーラシア大陸にいたから」だそうです。 ちょっと聞くと、わけがわからないと思いますが、 物事って、努力よりも環境や条件の影響が大きい ってことです。
世の中にあふれている努力論は、成功した結果がある場合に発信されます。一方で、努力したけれど失敗した場合は日の目をみません。
ということは努力の結果、成功したようでも、真実はたまたま勝てる環境要因があっただけ、ということですね。
裏を返せば勝てない努力をしても思う成果が出ません。そういう見きわめって大事だと思います。
冬に水を撒いても芽が出ないのは当たり前ですが、春になれば特に苦労しないで種をまけば芽が出ます。
ところが私たちがついやってしまうのは、冬に必死に水を撒いてタネをまいて芽を出そうとする行為ですね。
「なかなか思う成果が出ない。」
と思うときは、冬にタネをまこうとしていないかを見極めることでしょう。
さいごに
これまで、私たちは努力とか根性とかコツコツといった手法が良いと信じてきました。
けれども実際は、必ずしも結果との因果関係は怪しいことがあります。
昔はそうした真相を知る手段がなかったのでしょうが、今は真実を知る手段があります。
けれども固定概念に凝り固まっていると昭和や平成の考えのまま、変えることができません。
その点、ひろゆきさんの著書は、カチカチに固まった古い考えをやわらかく研ぎほぐす力があります。
今回も様々な固定概念を良い意味で覆されました。ここに挙げたのはほんの一例です。ぜひ、他の内容も読んでみることをおすすめします。