IT 技術の進歩で私たちの生活が便利になるのは良いことです。一方で、私たちのプライバシーが知らない間に特定の団体に吸い上げられてしまうというリスクもはらみます。
ところがこれは、便利さを取るか、プライバシーを取るかのはざまに迷うという心理が働くうちはまだいいのです。
怖いのはプライバシーを吸収されていることに知らないまま、様々なサービスを利用してしまうことです。
例えば、私も今、音声認識入力でこの記事を書いている Google です 。Google を使っている人は多数います。
もはやその機能を使わずしてインターネットを使うことは不可能でしょう。これが無料と信じられないようなサービスが用意されているのですが、実はそれと引き換えに個人情報を提供していることは意識しなくてはなりません。
この音声認識入力もそうです。私がこのサービスを無料で利用することと引き換えに 、Google には私の音声が、どういうタイミングで、どういう言葉を使っているかなどといった、私も認識できない情報を収集していることでしょう。
さすがにデータ収集の巧妙さを咎める声が高まるそうです。ノルウェーの消費者協議会は 、「Google が利用者をプライバシー保護から遠ざける工夫をしている」と警告しています。その例としてこんな例があげられています。
「位置情報の提供停止のためのクリック」にわざわざ赤い文字を使っているそうです。通常、赤い文字は多くの人が無意識に避けてしまう色だそうです。
つまり赤い文字で書いてあるということは、位置情報の提供停止のためのクリックを避けてしまうことを意味します。
類似の例は私も覚えがあります。パソコンの画面を表示したときGoogleの「プライバシーを保護するためのいくつかの設定ボタン」があります。その解釈が分かりにくいことはよくあります。
全く反対の意味にも取れるのですが、中には自分が意図しない意味に解釈し、意図しない個人情報を放置してしまってる人もいるでしょう。
それどころか、そのような設定のためのページやボタンがあることにすら、気づかないまま使っている人は相当いると思われます。
そうした個人情報の収集にストップをかける流れが見られなかったのですが、自衛の兆しが出ていると言います。その一人がアメリカ、カーネギーメロン大学のアレサンドロ・アクイスティ教授です。この現象に対して「心理学を駆使したなかば強制 的なデータ集めだ。」と批判しているそうです。
アレサンドロ・アクイスティ教授のTEDの関連動画があります。日本語字幕付きです。
動画の中ではトムクルーズ主演の「マイノリティ・リポート」にも触れています。この映画はプライムビデオで途中まで見たことがあります。まさに近未来に起きそうで怖いと思いました。
また締めくくりでは
ビッグデータが自由のための力となるか、私たちを陰で動かす力となるかの戦い
と語っています。
また、イギリスの科学者ティム・バーナーズ・リー氏は18年秋に「自分の情報を守りながら Web を利用できるソフト、「ソリッド」を発表したそうです。
ティム・バーナーズ・リー氏のTED動画があります。日本語字幕付きです。
氏名、カレンダー内の予定、スマホのアプリと連動して記録される位置情報など、様々な個人データを間も仕組みるのサービスです。
この方は ワールド・ワイド・ウェブ(www) の仕組みを作った方で「ウェブの父」と言われているそうです 。(参考:日経新聞)
様々な便利なサービスが生まれ、私たちの暮らしが楽になるのは良いことです。ですが懸念するのは今回の新聞記事で言われているように、私たちの個人情報がいとも簡単に吸い上げられ、利用されている現状です。
確かにこのような知識は現状では自己責任なのかもしれません。ですが今後は、本人が自覚できなかったり、「知らなかった」という自体にならないシステムが不可欠と考えます。便利である反面、サービスを提供する側にも義務があると感じます。
「例えばグーグルのサービスがなぜ全て無料なのか。」それは「ただほど高い物はない」原則にあるということでしょう。けれども天才集団と言われるこのようなシステムを開発する立場に関わる人であれば、着地点がそれぞれの不利益につながるところにはないと考えるはずです。私はそこに期待をかけたいと感じます。これらに関わる方がその素晴らしい頭脳をアレサンドロ・アクイスティ教授やティム・バーナーズ・リー氏のような意志を持って使う方向に進んでほしいと願います。
この記事は音声認識入力で記入しました。