はじめに
今回は、
「新NISA・50代、60代オルカン妄信は要注意!GPIFの投資スタイルを参考にした戦略とは?」
という話をします。
もくじ
- はじめに
- もくじ
- 新NISAでオルカンが大ブーム。50代、60代も同じでいいの?
- 過去の暴落の歴史を確認する
- 為替リスクを念頭に置く
- オルカンやS&P500の運用は長期視点で、安全資産と併用する
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資スタイルを参考にする方法も
- まとめ
- さいごに
新NISAでオルカンが大ブーム。50代、60代も同じでいいの?
2024年に開始した新NISAでは、全世界に投資できるインデックスファンドの、オールカントリー、通称オルカンが大人気です。
結論を言うと50代、60代が、オルカンやS&P500などのアメリカ&外国株式メインの投資をする場合は、慎重になる必要があります。
また、どの程度オルカンやS&P500のようなアメリカ株の割合いが多いファンドを組み込むかは、その人各自の資産状況にもよります。
理由は次の項目で詳しく書きますが、運用できる期間が若い年代と比較して短いことにあります。
確かにオルカンは、1つの投資信託を買うだけで世界中の株を買えるので、分散投資がまあまあできます。
また、手数料が低いので、長期にわたり積み立てながらドルコスト平均法のメリットを生かし老後資金などを作ることができる可能性が高い金融商品です。
一方で50代、60代の人がこれらのアメリカ株式の比率が多いファンドを運用することは、暴落にあったときに、それが回復するまで持たない可能性も出ます。
過去の暴落の歴史を確認する
過去に起きた暴落についてざっくり確認します。
暴落は世界大恐慌をのぞいておよそ、8~12年に一度くらいの頻度で起きています。
また、アメリカ株で見た場合、過去に暴落して回復までの期間は世界大恐慌をのぞいて最長で2~7年くらいです。
以下は主な暴落の歴史です。
- 1929年 世界大恐慌 回復まで15年
- 1972年 オイルショック 回復まで4年
- 1987年 ブラックマンデー 回復まで2年
- 2000年 ITバブル崩壊、同時多発テロ 回復まで6年
- 2007年 世界金融危機、リーマンショック 回復まで5年
- 2020年 コロナショック 回復まで約半年
暴落は運用中に必ず遭います。ただしそれがいつかは誰にもわかりません。2007年のリーマンショックから2025年現在は、コロナショックをのぞいて18年経過しています。
必ず等間隔で暴落が起きるわけではありませんが、いつ起きてもおかしくないとも言えます。
つまり、暴落は必ず来るものだという前提で運営をすることが、とくに50代、60代は必須です。
為替リスクを念頭に置く
次に注意したいのは為替リスクです。オルカンやS&P500はアメリカ株が基本ですからドルです。
新NISAが開始した2024年は現在に至るまで円安です。ですからオルカンやS&P500は株価のほか、為替差益の要因で含み益が上昇している面もあります。
つまり将来的に円高に移行すると、為替差により利益が減少する為替リスクがあります。
新NISAが開始した2024年は、アメリカ株が好調であるのに加えて円安でした。
そのために基本的な傾向としてはオルカンやS&P500を購入した人は好調なスタートを切りました。(途中、株価が一時急落した場面はありましたが)そうしたこともあり、為替リスクに対する注意点の意識が向かないままに現状を迎えている人もいるかもしれません。
オルカンやS&P500の運用は長期視点で、安全資産と併用する
ただし、為替リスクがあるといっても、長期で運用すれば、それほど一喜一憂するものではなくなります。
50代、60代とは言っても、最近の長寿の傾向をみれば、仮に90歳代までの運用ができた場合、30年~などの長期の運用は可能な場合が多々あります。
ただし現役世代と違い、守りを手堅くする必要があります。ですからオルカンやS&P500の運用は、短期で株価の値動きに一喜一憂をせず、淡々とドルコスト平均法などで無感情で積み上げていくのが良いでしょう。
同時にその際は、必ず現金、定期預金、個人向け国債などの安全資産の割合を確保しながらすすめましょう。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資スタイルを参考にする方法も
GPIFの投資スタイルとは
安全資産と併用するのが基本とはいえ、それでは物足りないので、リスク資産と無リスク資産(安全資産)の間をとるような投資スタイルも候補として考えられます。
例えば年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資スタイルを参考にする投資スタイルなどです。
現在、GPIFは国内債券・外国債券・国内株式・外国株式を25%ずつ(債券50%:株式50%)のポートフォリオで分散投資しています。また、債券と株式を半分ずつに保ち、リスク分散しています。
上記の4資産に25%ずつ投資したポートフォリオは、1位の利益を得ることはありませんが、最下位になることがない投資スタイルとなります。
一般に債券と株式は、逆の値動きをとるとされます。
「債券が上昇すると株価は下落する」
「債券が下落すると株価は上昇する」
とされます。
GPIFは、年金財源全体のうち1割程度の資金を運用しています。そして長期的な視点での基本ポートフォリオに基づいた運用を行っています。
GPIFの投資スタイルに似た投資信託の2例
(※あくまで参考事例であり、ここに挙げた金融商品を推奨する目的はありません)
GPIFの投資スタイルが優れているとわかっても、自力でポートフォリオを組むのは大変です。
そこでGPIFの投資スタイルを目指した投資信託の利用が考えられます。例えば以下のようなものがあります。以下に2つのファンドの例を挙げます。
どちらも内容はそっくりなので、あとは各自の好みや都合で選びましょう。
大和-iFree 年金バランスは、そのまま「(GPIF)の基本ポートフォリオに近づけることを目標とします。」と明言しています。
一方で「ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」は、とくにそういった明言はありません。
ただ、目論見書を見てみると、以下のように両者はほぼそっくりであることがわかります。
- ニッセイアセットマネジメント株式会社のほうは、設立年月日 1995年、資本金 100億円、運用する投資信託財産の合計純資産総額が9兆8,188億円
- 大和アセットマネジメント株式会社は、 設立年月日1959年、 資本金151億74百万、 運用する投資信託財産の合計純資産総額は32兆1,479億90百万円
・・です。
運用会社の規模でいえば、大和アセットマネジメント株式会社のほうが大きいですね。ただ、実際はそれを理由に比較するほどではないでしょう。
大和-iFree 年金バランス
委託会社名 大和アセットマネジメント株式会社
国内株式 先進国株式 国内債券 先進国債券に投資
資産クラスおよび配分比率の決定にあたっては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオに近づけることを目標とします。
GPIFの基本ポートフォリオ(2024年6月末)
国内株式25%、 先進国株式25%、 国内債券25%、 先進国債券25%、
- 国内株式・・主に東証株価指数(TOPIX)に連動
- 先進国株式・・主にMSCIコクサイ指数に連動
- 国内債券・・国内の債券に投資
- 先進国債券・・主にFTSE世界国債インデックスに連動
原則為替ヘッジなし
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
「ニッセイ国内株式インデックスマザーファンド」「ニッセイ国内債券インデックスマザーファンド」「ニッセイ外国株式インデックスマザーファンド」「ニッセイ外国債券インデックスマザーファンド」を主要投資対象とし、実質的に国内外の株式市場および債券市場の動きに連動する投資成果を目標に運用を行います。
・国内株式・・主に東証株価指数(TOPIX)に連動
・国内債券・・主にNOMURA-BPI 総合に連動
・外国株式・・主にMSCIコクサイ・インデックスに連動
・外国債券・・主にFTSE世界国債インデックスに連動
原則為替ヘッジなし
まとめ
50代、60代が新NISAなどを利用して資産を運用するときは、(新NISAを利用しない場合でも)安全資産の割合をしっかり確保をしたうえで運用しましょう。
そのうえでリスク資産の運用をする場合には、オルカンやS&P500の割合は若い世代よりも控えめにすることが考えられます。
また年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資スタイルを参考にした投資信託の活用でも考えられます。
オルカンやS&P500よりも得られる利益は控えめになる可能性がありますが、代わりに最下位の結果にはなりにくい投資スタイルです。
(以下の項目はリンクなのでもう一度読めます)
- はじめに
- もくじ
- 新NISAでオルカンが大ブーム。50代、60代も同じでいいの?
- 過去の暴落の歴史を確認する
- 為替リスクを念頭に置く
- オルカンやS&P500の運用は長期視点で、安全資産と併用する
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資スタイルを参考にする方法も
- まとめ
- さいごに
さいごに
「新NISA・50代、60代オルカン妄信は要注意!GPIFの投資スタイルを参考にした戦略とは?」
という話をしました。参考になれば幸いです。