はじめに
全世界株人気でスタートした新NISAですが、実は全世界株なら何でもいいわけではありません。
実は新NISA対象銘柄でもトラップ銘柄があるのです。
新NISA2年目ですが、これから始めようとしている人、または銘柄選びを変えようとしている人、追加で銘柄選びをしようとしている人などがいることでしょう。
そこで今回は、トラップ銘柄とはどういうものかを確認してみます。
※投資はリスクがあります。ここに書いた話は判断基準の一例です。最終的な判断は自分で行ってください。
オルカンとは?
全世界株の投資信託でも、特に人気なのはオルカンです。全世界に投資するファンドで新NISA対象銘柄のひとつです。
「オルカン」とは、正式名称「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」で、「三菱UFJアセットマネジメント」の登録商標です。
オルカンは、投資信託である金融商品です。一本のファンドで、世界中の株式に投資できます。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する成果を目指しています。
「つみたて投資枠」対象銘柄だけでもこんなにある全世界株
全世界株と一口に言っても、実は金融商品はこんなにあります。
こちらは金融庁のHPに掲載されているつみたて投資枠対象銘柄一覧です。新NISAのつみたて投資枠銘柄は、全部で289銘柄で、そのうち20銘柄ほどの「全世界株」があります。
つみたて投資枠対象銘柄の全世界株は
- MSCI ACWI Index 15銘柄
- FTSE Global All Cap Index 5銘柄
があります。
新NISAつみたて投資枠の全世界株インデックスファンド
出典 金融庁
MSCIとFTSEの違い
全世界株でも、MSCIとFTSEの銘柄があります。
MSCIは、米国の企業で「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル」の略称です。株価指数などを算出しています。この企業が算出する指数を言います。
FTSEは、イギリスの企業で、「FTSE Russell」として様々な指数を算出しています。
MSCI ACWI Index と FTSE Global All Cap Index の違い
MSCI ACWI Index と FTSE Global All Cap Index の違いは・・
- MSCI ・・中型、大型株中心、小型株を含まない
- FTSE・・上場企業の約98%をカバーし、小型株も含む
となります。
このうち、以下の銘柄は一部の国を除外しています。
MSCIを採用している銘柄
MSCIを採用している銘柄は、
- eMAXIS Slim~
- ニッセイ~
などがあります。主にSBI証券などで扱いがあります。
FTSEを採用している銘柄
FTSEを採用しているのは
- 楽天~
- バンガード~
などがあります。主に楽天証券などで扱いがあります。
「のぞく日本」「のぞく米国」以外でも14銘柄ある
MSCI 「のぞく日本」は5銘柄
- 野村つみたて外国株投信 ・・野村アセットマネジメント㈱
- はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)・・ 野村アセットマネジメント㈱
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド・・ 三井住友DSアセットマネジメント㈱
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)・・ 三菱UFJアセットマネジメント㈱
- Smart-i Select 全世界株式インデックス(除く日本)・・ りそなアセットマネジメント㈱
FTSE 「のぞく米国1銘柄」
FTSEのうち以下の「のぞく米国」が1銘柄あります。
- 楽天・全世界株式(除く米国)インデックス・ファンド 楽天投信投資顧問㈱
20銘柄の全世界株中、「のぞく日本」「のぞく米国」6銘柄を除外した場合、全部で14銘柄もあります。
全世界&「つみたて投資枠対象銘柄」でも要注意
全世界株を選び「つみたて投資枠対象銘柄」であればどれを選んでもいいかというと、そんなことはありません。
注意したいのは、手数料です。
全世界株とはいえ値動きはありますし、株の詰め合わせパックである投資信託とはいえ、株自体がリスクのある商品です。
けれども利益に関係なく信託報酬をはじめとした手数料は固定費です。
ですから購入時によく吟味することが必要です。よく見るとほとんど同じような商品であるにもかかわらず、信託報酬が割高なものがあります。
こんなに違う信託報酬
ネット証券では、簡単に比較をして内容を確認できます。
例えばSBI証券で扱いの銘柄でも、このような違いがあります。
いずれも類似の3銘柄です。けれども手数料をよく比較してみましょう。
出典:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA
- 0.05775%以内
- 0.66%以内
- 0.198%以内
11倍越えの差
手数料の割合が一番少ない銘柄と一番多い銘柄とで、その差はなんと!上記3銘柄で比較した場合でも、11.42倍もの開きがあります。
上記3銘柄のうち、一番信託報酬が低いのは
「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
で、0.05775%以内です。
一方で、上記3銘柄のうち一番割高な「三菱UFJ-eMAXIS 全世界株式インデックス」は、信託報酬が0.66%(以内)です。
ところが順位を見ると、SBI証券の中での228位ですから、少なからず売れているということです。
SBI証券でのランキングということは、信託報酬0.05775%以内の「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」も購入できるはずですが、順位にのぼっています。
推測ですがSBI証券で口座開設をして、
「よくわからないけど全世界株ファンドを買おう」
と考えた初心者の方が買っちゃったのかな・・?と推測してしまいました。もちろん、それ以外の理由があるケースもありますが、注意したいですね。
もちろんそれでもネット証券を開設して、全世界のインデックスファンドを選んでいるだけで、十分合格です。ただ、最後の最後まで信託報酬(手数料)のチェックをして気を抜かずに比較したいですね。
eMAXISとeMAXIS Slimの違い
よく疑問視されるeMAXISとeMAXIS Slimの違いは、手数料(コスト)です。
- eMAXIS・・多くの金融機関で販売される→信託報酬が割高
- eMAXIS Slim・・販売会社が限られる→信託報酬が極めて低い
せっかくなので、eMAXISシリーズを選ぶ場合、eMAXIS Slimを扱う販売会社を選びましょう。
銘柄名にだまされない
上記で例に挙げた「三菱UFJ-つみたて全世界株式」ですが、「つみたて」という名前がなくても、つみたて対象銘柄であればつみたては可能です。
「三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」との信託報酬の差は約3.4倍です。
けれども、「つみたて」とあることで、なんとなく選んでしまわないと限らないので、よく確認するようにしましょう。
まとめ・固定費に注意するのは家計管理と同じ
このように新NISAで運用する場合、ほかの条件がほぼ同じであれば可能な限り信託報酬(手数料)が低いものを選ぶことが大事です。
手数料は運用益に関係なく発生する固定費です。固定費削減を重視するのは、家計管理と同じです。
このように、一見似たような銘柄でも、手数料に大きな違いがあります。つみたて枠は基本的に長期にわたり運用するものですから、注意しましょう。
さいごに
今回は、新NISAで人気の全世界インデックスファンドでも、手数料に違いがある「トラップ銘柄」がある・・というお話をしました。
参考になればさいわいです。