正直、買った直後にこの本を読んだ時は思いました。
「なんだか、よくわからない。」
もくじ
付箋を貼らないページがない
ところが、放置すること、約ひと月が経過しました。
何がわからなかったのかも、思い出せないままにもう一度ページをめくってみました。
そうしたら・・、
「あれ?」
ページをめくる手が止まらず、ほとんどのページに付箋が貼られていました。
もはや付箋を貼る意味がないほどに。
アマゾン 新装版 問題は解決するな
なんだか「あやしい」気がしたけれど、まずは買ってみた
そもそも、書店でこの本を見かけた時はビジネス書系だと思いました。
まず、どんな人が書いたのか、後ろの方のページを見ましたが、よくわからない。
しかも何となくあやしい感じもします。
けれどもタイトルが気になったので、冒頭を試し読みしました。すると以前読んだどなたかの本に書いてあったエピソードで読んだ気がしたのです。
というわけで「1分手にした本は買う」が原則の私は、とりあえず本を持ってレジに並んでいました。
けれども初めは正直よく言っていることがわからなかったのです。なんだか雲をつかむような話のような気がするし、結局は何か具体的な行動を起こすことを主張もしていない・・。
「久々に、しくじったかな。(外れの本にあたったということ)」
と思い、とりあえずキャビネットの上に放置しました。
ひと月経過後再読したら、「とんでもなかった」
ところがさっきも書いたように、しばらくして気になったので再読したら、とてつもない本だったのです。
これはもう、実際に本を読んで頂いた方が良いのですが、例えばこんなことです。
あきらめる
一般に「あきらめ」についてネガティブな意味でとらえることが多いように思えます。確かに、例えば山で遭難した時、最後まであきらめないで何とか生きようとする意志は大事です。
いっぽうで、あきらめて静観することで時期が来れば起き上がれることはある。クマが冬眠するべきときに冬の山を歩き回ればエネルギーを消耗します。かえって命の危険があります。
冬にタネを撒いて水をやっても、芽は出ないし根腐れを起こすだけです。そういうとき芽を出させるよりも、じっと春を待てばいい。
来るべき時が来れば、クマは冬眠から目が覚めるし、花も芽を出して花を咲かせます。
解決できると思わない
それから、「人には解決する能力が備わっていない」という項目では、「本当はろうそく程度の炎を大火事と勘違いをしてパニックを起こし、場合によっては死に至ってしまうこともある」という内容です。
ではどうすればいいかといえば、起きたことを冷静にきちんと見ることだといいます。人は過去の苦難を解決しているように思いがちです。ところが解決しようとする時に起きてしまうのは恐怖と不安だそう。
たしかに、例えば現状のコロナ禍などの状況も同様といえますね。テレビをはじめとした情報に翻弄され、恐怖におびえる人たちが大勢います。
たしかに、情報は必要ですし、対策をとることは大事です。いっぽうで不安と恐怖が利益につながる側面もあります。
問題を人が解決しているというのは案外、傲慢な気持ちと思い込みだという例はおおいにあるでしょう。本当は解決しているわけではなく、単に時の経過により緩和しているだけということもあり得ます。
私たちが生きている世界の3つの循環
また、私たちが生きている世界は3つの循環があるということ。
- 自分の中の循環
- 自分と相手との循環
- 自分と宇宙との循環
何か問題を抱えているときは、これらのどれが滞っているか観察してくださいとのこと。そしてこれらは、人に聞いてわかるものではなく、自分で答えを導き出す能力が備わっているとのこと。
「今ここ」とは
「今ここ」とはつまり、過去のものは役に立たないということとのこと。著者は先人の開拓者は過去にとらわれずに進んだ人たちであることを説いています。
「今ここ」で真っ先に連想するのは冥想、マインドフルネスです。そうか、「今ここ」というのはつまり、過去を捨て去り新しい世界で生きることにほかならないんだ。」
とんでもないことに気付かされてしまったと、この章を読んだ時ページをめくる手が止まりました。
さいごに
なんとなく「あやしさ感」に警戒しながら(?)ページをめくりましたが、書いてあることはいたって誠実で大切なことが書かれていると感じました。
実際、著者の肩書を読んでも、いまひとつよくわからないし、日本人でもないようだし、食わず嫌いでスルーしてしまったかもしれない本です。
けれどもかいてあることはどれも納得できることばかりでかつ、盲点に気付きを与えてくれる本です。
何かに行き詰っていると少しでも感じたことがあるなら、ぜひ一読することをおすすめします。