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『超入門カーボンニュートラル』書籍感想・書評・ブックレビュー



こんにちは ちゃくまです。

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はじめに

「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことがありますか?

この言葉はだいぶ前からあったのですが、日本では最近(2020年)になって急に注目され始めたそうです。しかも経済用語としての概念になってきているようです。

2020年といえば、コロナが実質国内で始まった年です。そんな最中に、コロナよりも注目されている「カーボンニュートラル」とはいったい何なのでしょう。それでは本書を読んで、その内容を知ることにしたいと思います。

もくじ

国内で「カーボンニュートラル」が広がったわけ

「カーボンニュートラル」という言葉が注目されたきっかけは、2020年9月、菅首相が国会の所信表明演説にあるそうです。このとき、首相が「2050年カーボンニュートラルを目指す」と宣言したからです。

コロナやオリンピックで大変な時期に打ち出した理由

なぜ、コロナやオリンピックを控えた時期に「カーボンニュートラル」なのでしょうか。それほどに、日本経済を守るためには「カーボンニュートラル」を打ち出す緊迫した必要があったのだそうです。

 「カーボンニュートラル」とは

「カーボンニュートラル」とは一体何でしょうか。簡単に言えば、

「二酸化炭素をプラスマイナスゼロ」

にすることです。カーボンニュートラルは「ネット・ゼロ」とも言うそうです。

 なんのために「二酸化炭素をプラスマイナスゼロ」にするかというと、世界の気温上昇を食い止めるためです。

世界の気温は上昇している原因と国内の懐疑派について

世界の気温が上昇は、人間の社会活動(温室効果ガスの排出)が原因だと大多数の科学者が結論づけているそうです。

日本にはこの考えに懐疑派が多いそうですが、(武田邦彦教授など)2010年出版の書籍で、武田邦彦教授は、

  • 地球の気温があがっていること
  • 気温上昇の原因CO2が関与していること

に関しては「異論はありません」と言っているそうです。原因は人間の、社会活動で出したCO2だという見解に7割がた「その通りだろう」と、書籍の対談で言っているそうです。3割については、「ほかの可能性」の余地をまだ残しているようです。

ただしこのように、懐疑派の割合が比較的多い日本ですが、世界の科学者にはほとんど支持されていないということです。著者はここで、懐疑派の見解が、出版不況における中での出版需要についての事情と背景を考慮しているようです。

なぜ「カーボンニュートラル」が経済用語となったのか

本来、環境用語である「カーボンニュートラル」ですが、現在は経済用語化しています。なぜでしょうか。それは気候変動と経済は大きな関連があるからだそうです。

例えば保険について、大災害の保険損害額は年々上昇しているそうです。なぜかといえば近年、気候災害が増え、損害が増えているからだそう。

(台風、ハリケーン、サイクロン、豪雨、豪雪、洪水、山火事、かんばつ、熱波など)

2011年、日本人である私たちは地震の記憶が強いのですが、の気候損害額は地震をうわまわったのだそうです。気候損害額は明確に上昇傾向にあるというからおどろきます。

 今後さらに気温が上昇すると、変化するのは気候災害だけではありません。様々な産業にも影響が起きます。

農林水産業では現在の産地での収穫減少と品質低下が起きて、例えばリンゴは青森ではなく北海道が産地になるかもしれないとのことです。

ブドウ、モモ、ナシは山梨では作れなくなるかもしれませんし、北海道で作られている小麦やジャガイモの収穫減少や品質低下で、食卓にも影響があるかもしれません。

さらに「水と安全はタダ」と言われてきた日本国内ですが、台風や豪雨で災害が増えると、住む場所や水供給に影響があるのだそうです。また、健康と感染性の弊害や、猛暑の熱中症も懸念されます。

 気候変動による金融危機リスク

気候変動が起きると、金融については通常、災害リスクを国際的に分散しているから、実は人間全体で支えあっている背景があるのだそうです。

ところが世界規模での気温上昇が続くことは、世界規模で同時多発的に気候災害が増えることを意味します。

世界中で災害が増えれば、分散して補い合うことができなくなります。金融は分散投資が原則なのにこれではそのようなことも不可能になってしまうおそれがあります。結果としてこれは経済にも大きな悪い影響を与えるということです。

国際決済銀行までも「気候変動と金融危機をもたらすリスク」を発表した

このような背景がある中で、国際決済銀行(銀行の銀行である中央銀行の銀行・国際機関BIS)が2020年1月に『グリーン・スワン(緑の白鳥)』というレポートを発表しました。

その中に「気候変動が、巨大な金融危機をもたらすリスク」について記載があったのです。ちなみになぜ「グリーン・スワン」というのかですが、2008年のリーマンショックに原点があります。

当時、「予期できなかった未知のリスク」として「ブラック・スワン(黒い白鳥)」ともてはやされ、それをもじった言葉が「グリーン・スワン」なのだそうです。通常、グリーンは環境・エコの代名詞ですが、今回は気候変動をあらわしているそう。

ESGが重視する気候変動

気候変動が金融危機リスクをもたらし、今後さらに高まるそうです。けれどもそれを食い止めるためには「人間社会の温室効果ガス」を削減することが解決策になります。

具体的には、温室効果ガスを排出し続けている投資融資先の企業や政府に、削減の要求をしたり、そもそもの融資先を「温室効果ガス排出量を削減しながら経済成長を実現しようとしている」デカップリングに基づいた方向性を打ち出しているところへ振り分けることが有効に働くことになります。

「削減してよ」と頼むだけでは当然、なかなか動きませんが、融資が絡むとなれば当然、政府や企業は積極的に対策と実行を取らざるを得ません。実際、菅首相が突然発表した「カーボンニュートラル」も、まさにこの背景を受けた発表といえます。

投資家が注目するのは気候変動

当然ですが巨大な投資家ほど、将来を見越しているわけです。

ESG投資という2006年に誕生した造語は、それぞれの英単語の頭文字をとりE「環境」、S「社会」、G「企業統治」、を指します。

投資家はESGのうち特に「E・環境」の気候変動を重視しているそうです。ちなみにコロナウィルスである感染症まん延については2番目だとのこと。

プロの投資家はどんな人たちなのか

「世界のトップ62人が全人類の下位半分と同額の資産を持っている」は「62人の大富豪が世界経済を支配している」と考えるのは論理の飛躍だそうです。

実際にこの人たちが世界で運用されている280兆ドルの0・6%に過ぎないとのこと。実は世界で運用されている資産の内訳は次のようになるそうです。

  • 62人の富豪の資産0.6%+個人の資産 =63%
  • 世界の年金基金全体=37%

ここで通目すべきは、世界の年金基金全体で37%という数字です。これは53兆円にもなるそうです。当然、影響力があるのは大富豪よりも年金基金だそう。この視点は普通、なかったのではないでしょうか。 

「クライメート・アクション100+」も温室効果ガス排出量削減を求めている

「クライメート・アクション100+」とは

年金基金と保険会社、年金基金から資産を預かる運用会社、これらが集まり投資先企業に温室効果ガス排出量削減を求める団体のうち、有力な「クライメート・アクション100+」には、575の年金基金などが加盟、運用資産合計54兆ドルにもなるそうです。日本の年金基金も加盟しているとのこと。

温室効果ガス排出量の多い世界中の167社

温室効果ガス排出量の多い世界中の167社に対して、「クライメート・アクション100+」は温室効果ガス排出量削減の圧力をかけているそうです。

この167社は世界全体の工場からの排出量のうち80%を占めているそう。この167社には、私たちにもなじみの深い企業はたくさんあります。

例えば、コカ・コーラ、ネスレ、ダノン、P&G、ユニリーバなどがその一例です。

日本の企業も当然あります。トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、日立、パナソニック、東レ、ダイキン工業、日本製鉄、ENEOSの10社です。

要求は企業そのものだけではなく、下請け、取引先にも及ぶそうです。

ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス

「クライメート・アクション100+」が167社という特定の企業に絞った対象であるのに対し、すべての投資先企業を対象にしている団体が「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス」という団体です。この団体の運用資産はすでに620兆円に拡大しているそうです。

ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスには、国連も積極的に支持しているそうです。 

本の読みやすさの有無などについて

本書は、「カーボンニュートラル」という言葉を初めて目にした方でも、その背景についての基礎知識がわかりやすい構成になっています。難しい言葉はありませんし、専門用語や耳慣れない言葉や名称も、きちんと説明がなされています。読者が置いてけぼりを食うようなことはありません。

このブログ記事には本書の前半のみ、主な内容を記しました。ぜひ本書を実際に読むことをお勧めします。

理由は、「カーボン・ニュートラル」に無縁でいられる人は、この地球上で誰もいないからです。

超入門カーボンニュートラル (講談社+α新書)

超入門カーボンニュートラル (講談社+α新書)

  • 作者:夫馬 賢治
  • 発売日: 2021/05/21
  • メディア: 新書
 

 著者はどんな方?

夫馬 賢治
株式会社ニューラルCEO。サステナビリティ経営・ESG投資コンサルティング会社を2013年に創業し現職。ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長。環境省、農林水産省、厚生労働省のESG関連有識者委員。Jリーグ特任理事。国内外のテレビ、ラジオ、新聞でESGや気候変動の解説担当。全国での講演も多数。ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士。サンダーバードグローバル経営大学院MBA。東京大学教養学部卒。著書『ESG思考 激変資本主義1990-2020、経営者も投資家もここまで変わった』(講談社+α新書)、『データでわかる2030年 地球のすがた』(日本経済新聞出版)他 

 アマゾン商品紹介より引用

 さいごに

たまたま書店で見かけた本書には見慣れない言葉がありました。「カーボン・ニュートラル」手に取ってパラパラ見てみると、もとは、環境に関する用語らしい。

けれども人々の関心がコロナとオリンピックにある最近、菅首相が「カーボンニュートラル」という言葉を発している。その重大な意味と理由が、本書にはわかりやすく書かれています。

例えば年金と聞けば自分が受け取るときのことばかりが視野にありました。けれどもその背景には、運用や気候災害の増加など、重大なことがあったのです。日本人の私たちはこれまであまりこの言葉を耳にすることも目にすることもありませんでした。けれどもこれからは、相当に意識しないとならないことを、本書を読んで知ることができました。