はじめに
今回は、お金持ちになる方法を記した本を紹介します。コロナで世の中が激変している今、これまでとは働き方もお金の得方も同じやり方では通用しないはず。著者は「お金は教養で儲ける」重要性を説いています。
もくじ
- はじめに
- もくじ
- 教養って何?
- 単なる「成功法則」ではないお金儲けの鉄則とは?
- ケタ外れの資産家になれる人とは?
- ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
- 「シンプルに順序だてて考える」重要性を知る
- 著者はどんな方?
- さいごに
教養って何?
普段、何気なく口にする「教養」という言葉ですが、著者は
物事の本質を見極めるための総合的な知識や考え方が、人格や行動に結びついたもの
と定義しています。つまり、教養とは、本質を見極める能力であり、その人の言動に直結していることだというわけですね。ということは、例えば単に点数を稼ぎ受験で合格するための勉強などとは意味が違うということになります。
単なる「成功法則」ではないお金儲けの鉄則とは?
お金を儲けるための話を説いた本は、多数存在します。特にこれらの本は、一般に成功法則の位置づけの内容です。対してこの本が、これらの本と異質であるのは、教養と結び付けられている点です。
ケタ外れの資産家になれる人とは?
著者はケタ外れの資産家になれるほどお金を儲ける人は、ある共通点があると説いています。それは、
- 他人にも自分にも厳しい
- 禁欲的な人物である
- お金儲けの意欲がある
- 使命感を持っている
点だということです。
ヤマト運輸の故小倉昌男会長の例
本書では具体的な例として、ヤマト運輸の故小倉昌男会長の例を挙げています。ヤマト運輸といえば、現在は絶大な信頼のおける身近な宅配業者として親しみ深い企業です。けれども事業は、初めからこのような状態だったわけではないようです。
そもそも家庭向けの小口の宅配事業に目を向ける人はなく、また郵便事業への対立で政府との激しい対立を潜り抜けたようです。
本書では小倉氏のこうした行動の源にあるのは、お金儲けというよりも使命感ではないかと言っています。同時にこのような実業家は、社会からの批判に一切動じない理由として使命感が根拠にあると言っています。
ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
よく成功本にはこんなことが書かれています。「自分を変えたければ、付き合う人を変えろ」。その根拠となる理由としてゲマインシャフトとゲゼルシャフトの概念が成り立つのだと気づきました。
ゲマインシャフトとゲゼルシャフトという言葉は聞きなれませんが、つまりこういう意味だそうです。
ゲマインシャフト・・共同体組織
- 血縁や住んでいる地域のつながり
- 農村型ムラ社会
- 家族経営の企業
- 感情、人間関係重視
- 上下関係重視
ゲゼルシャフト・・合理的組織
- 目的と契約で成り立っている
- 株式会社などの営利企業
- 個より全体の利益優先
- 契約、規律優先、能力主義
- 大規模事業に有利
(本書より編集して要約引用)
どちらもメリットとデメリットがありますが、うまく機能すれば巨大な富を手に入れる可能性が高いのは、ゲゼルシャフトだそうです。
世の中には、お金を稼げるコミュニティと稼げないコミュニティの2つがあるそう。それがゲマインシャフトとゲゼルシャフトの違いを知れば一目瞭然だというわけです。
お金を稼ぎやすいコミュニティとは、ズバリ、ゲゼルシャフトのコミュニティだということですね。
日本の企業は両者が入り乱れている印象が大きいですが、実際に2つの社会が入り乱れることで経済的な問題が起きやすいと著者は言います。
「シンプルに順序だてて考える」重要性を知る
物事の本質を見極めると言う意味で教養と言うものを捉えた時、ここでは、モデルを使って単純化する、割合の多いところに特化する、質と量の違いを理解する、といったことが教養的な思考と言うことになります。
この文章は、家計を預かる主婦の私たちにとっても、非常に重要な概念です。本書に記載があるように、合理的に判断すれば割合の多いところに特化するのが効率がよく、効果が大きいわけです。
家庭の場合、高額支出は住宅と保険と自動車で占められているので、この支出削減を図ることが一番効果が大きい。ところが一般には、住宅、保険、自動車に注目せず、細かい金額を節約することにエネルギーを注いでいる人が多い例が挙げられています。例えば食費や日用品費、水道光熱費のようなところですね。
この場合の普通の人と、教養のある人の違いの例として、
- 普通の人の考え方」・・・「車を持たないわけにいかないからしょうがない」と考える→(既存の価値観にとらわれ自由がない)
- 教養のある人の考え方・・・車を持つことをやめたら実際どの程度費用が浮くかを比較検討する→既存の価値観から常に自由である・・と説いています。
著者はどんな方?
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
加谷/珪一
経済評論家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、ニューズウィークや現代ビジネスなど多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオなどで解説者やコメンテーターなどを務める
さいごに
本のタイトルで予想した内容は「お金を儲けるためには勉強しましょう」というものだと思いました。ところが実際に読んでみると、確かに勉強は必要なことですが、意味がかなり違っていました。思った以上に本質を見極める重要性が説かれていて、かなり参考になる考え方が詰まっている本です。
私がお金を得たい最大の理由は、自由を手に入れたいからです。お金を手に入れることで、かなりの自由を手に入れることができます。同時にお金を得る方法は、本質を見極める力を持てばより得やすくなるという点が興味深く読めます。
本質を見極めれば、何らかの判断の時に迷いが出ません。また他人の意見に右往左往することもありません。私たちに必要なのは、こうしたしっかり地に足の着いた土台を作ることだと改めて痛感しました。