はじめに
今回は、リアリティが半端ない、お金に関する本を紹介します。世の中に、お金に関する本は多くあります。その中でいわゆる教科書的な内容を除いた場合、必要なのは「どうやってお金に関する判断をするか」です。この本は、非常にリアリティと実感に富んだ内容ですので、今からでも自分のお金に関する感覚を変えるヒントになります。
もくじ
特に印象に残った項目10選
本書から、特に役立つと思われる項目を10選びました。
たいていの夢は300万円で叶う
何か豊かなライフスタイルを実現させている人のことを「あの人は特別だから」という視点であとはそこで思考停止していることはあると思います。
本書にはたいていのことは、300万で実現可能なことが書いてあります。確かにそうです。ところが多くの場合、それを「老後に」とか「お金があれば」のように先送りしていることのなんと多いことか。
やりたいことは、今、この瞬間にかなえるべきだと痛感しました。
必要のないところにお金をかけなくていい
著者が普段着ている服は、1枚千円くらいの紺のTシャツで、(ZOZOオリジナル)20枚くらい買って同じものを着ているそうです。もっと高いものを買おうと思えば買えるけれど、興味も関心もないから十分だということです。一方で部屋選びのようなことなら話は違うということです。
これには同感で、私も洋服にお金をかける意味をあまり感じません。一方ですべて安ければいいとは考えていなくて、必要だと思うところにはやはりお金をある程度かけます。
著者と同じように例えば住環境は大事だと思います。ですのでここは安ければいいとは考えません。
お金を「使う」のではなく「回す」
なんでもコスパという言葉を使いつつ、一円でも安く買うことが良いという風潮があります。けれども私はそうは考えません。例えばそれほどの差でなければ、なるべく信頼のおけるきちんとしたところから買いたいと考えます。
本書で著者はお金は使うものではなく、「回す」ものだといいます。さらにお金をたくさん稼いでいる人の多くが尊敬される傾向にあるのは自己犠牲ができる余力があるからだといいます。
確かにいくらお金を持っていても、それを自分だけでため込んでいたのでは何も世の中は変わりません。せめてお金を「回す」感覚で循環させる。こうした感覚が必要なのは、お金がそういう性質であることを実感しているからこそだと思いました。
給与所得だけでは豊かさにたどりつけない
給与所得だけでは豊かになれない理由は簡単です。税金や社会保険料が大量に差し引かれるからです。本書には給与所得を増やすためにがんばるよりも、お金に働いてもらう増やし方のほうがどう考えても得だということが書いてあります。
我が家も夫はサラリーマンですが、このことに気づいたのは最近でした。サラリーマン、ウーマンの人たちは今すぐにでも、「お金に働いてもらう」増やし方を調べるべきです。
「ずるい」という言葉を使うのをやめろ
「ずるい」という言葉はお金もちとは縁遠くなる言葉だそうです。何かうらやましいと思う人がいるのなら「なぜ、そうなのか」の視点が大事だというわけですね。
ずるいという言葉は嫉妬から生まれるものですが、それはつまり相手を自分より下に見ているということでもあります。
「ずるい」という言葉を封印しようと思いました。
労働自体には何の価値もない
「自分は頑張っているのに給料が上がらないのは世の中が間違っている」と考えるのは根本の発想がおかしいそうです。一見「なぜ」と思いますがそもそも給料という性質がそういうものだから当然の結果なわけですね。
給料とは労働の対価なのでそれが少ないと思うなら、労働ではないお金の得方をするべきだということでしょう。
ところが多数の人が給与取得者なので、「みんな同じ」で安心してしまいがちです。そこから視点を変えることが必要でしょう。
みんなが遊んでいるときに自己投資できるか
「何が資本なのか」について考えたほうがいいと著者は繰り返します。その大切さに気付けばそれだけでほかの人に勝っているといってもいいくらいだということです。
ここでは、人気ユーチューバーのヒカキンさんの例が挙げられています。人が遊んでいるときに自分が信じる「資本作り」にいそしむこと。それは単なる「努力」という視点では気づけないことがあります。
「分譲VS賃貸」より大事なことはどう暮らすか
著者は「お金は選択肢を増やすためにもあること」を説いています。例えば賃貸か持ち家かに関する例を挙げて、この議論は意味がないこと指摘しています。この議論はお金の視点だけでされる議論ですが、確かに住まいとはお金の要素だけで成立はしていません。
著者はこの議論についてはケースバイケースといい、賃貸でも分譲でも両方ありの人のほうが住みたいところに住める確率が高くなると説いています。
金利に鈍感な人はお金持ちにはなれない
貯金総額などに注目する人は多いですが、それ以上に金利は重要だという話が書かれています。金利によって、実際に支払う住宅ローンの金額が変わるのですが、金利が下がれば簡単にこれまで届かなかった物件にも手が届いてしまう威力があると説いています。
自分が持っているお金の残高が金利によって、あっという間に上下する威力があるというわけです。
特に家を購入したり所有してる場合には金利に敏感になる必要がありますね。
退屈な正論に振り回されてはいけない
著者は住宅ローンの返済期間について、「『10年以上はだめ』と推奨する評論家がいるけれど、その人は独身で子供もいなかったりする」といいます。
ところが10年以内に完済できる物件というと、通勤時間が2時間というところにしか住めなかったりすることを例に挙げつつ、「たとえ住宅ローンが35年になっても家族が笑顔になる選択をする重要性」を説いています。
世の中の「正論」はお金が最上位にある前提が多いと感じます。私も家族と子供が(現在は成人)がいますが、子供が小さいときに、ゆったりした家で笑顔で住むという「時間はあとから取り返せない」ことを実感しています。
もちろん賃貸を選ぶのも自由ですが、お金の損得だけで判断していると大事なことを見失うと実感しています。
著者はどんな方?
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田端/信太郎
オンラインサロン「田端大学」塾長。1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げる。2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員として法人ビジネスを担当し、2018年2月末に同社を退社。その後株式会社ZOZO、コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月退任を発表
さいごに
この本は、推定20~30代のサラリーマンで、家族がいるか結婚したばかり位の人を想定していると思われます。
このくらいの年代の方は、家を買ったり場合によっては転職したりと、多大なお金に関する岐路に立つことが多いと思います。そういう時には、実感の伴った本書のような本が非常に役に立ちます。
もちろん、若い年代のサラリーマン以外の人でも、大いに役に立つ内容が満載です。具体的な実感の伴う話は、なかなかリアルな知人経由でないと聞くことができないからです。
その点、この本は冒頭で著者が言うように、具体的な金額と固有名詞を入れたリアリティのある内容です。