はじめに
この本を読むと、最近抱いていた日本に対する不信感が吹き飛びます。また、少なからず私たちの間にある、特に欧米に対する羨望や劣等感が吹き飛んでしまうにちがいありません。今回は、日本ではあまり知られていない真実をえがいた本を紹介します。
もくじ
日本のコロナ対策は、世界でも群を抜いている
1~3章はコロナに関する話題
コロナで世界中が激震していましたが、よく話題になることがあります。それは「日本が諸外国と比べて対応が遅い」ということです。加えて最近は、日本が政府のやり方をはじめ、諸外国と比較して、適切な対応をとっていないことがテレビやネットで報道されています。
ところがこの本を読むと、全く反対の見解におどろきます。前半の第1~3章はコロナに関する話題が挙げられています。
例えばコロナ対策については、第一に日本の死者数が諸外国と比較して圧倒的に少ないことが挙げられています。これは政府の指導もさることながら、日本人は「こうしてください」と政府から方針を示されると、みんなが従うことも良い結果につながったらしいです。
このような国民性を、普段はマイナスとして解釈する向きが目立ちます。例えば、「自主性がない」とか「上からの命令に従う従順な気質」というように、です。けれども私たち日本人が、政府が掲げた内容に従ったのは、単に上からの命令(のようなもの)に従ったというだけが理由ではないはずです。
その背景にあるのは、「自分さえ感染しなければ良い」とは思っておらず、コロナをはじめとしたウィルスというものの特性の基本をある程度理解し、「みんなで協力してこの時期を乗り切らなくてはならない」と、まっとうな考えのもとに行動したからです。
本書を読むと、こうした、私たち日本人にとっては当たり前の行動が、諸外国では当たり前ではないらしいことがわかります。諸外国では、第一にマスクをつける習慣がないばかりか、必要だという政府の説明があったとしても、これまでの習慣や考えを変えることに否定的な国民性や、基本的に自己チューなので、他人のことまで考えて感染防止に協力しようなどとは考えないのだそうです。
結果として、コロナの死者数が諸外国の多くは日本とはケタ違いなのだそうです。そして諸外国では、こうした日本を称賛する声が多数あるのだそうです。ところが私たち日本人は、こうした諸外国の反応を知りません。なぜかこうした日本の素晴らしい対応などが諸外国で称賛されている事実も、欧米などでコロナに対する対応のずさんさが報道されないそうです。
本書の前半はコロナを通した日本の実は素晴らしい現状が示されています。同時に諸外国の対応のまずさに対する数々の話が記されていておどろきます。
4章は教育格差について
4章は教育格差についての話です。諸外国の「学校」の怖さが垣間見えます。日本も様々な問題はありますが、少なくとも子供が一人で近所の友達の家に遊びに行ける国なんて言うのは、日本くらいなものだということがわかり、あらためて素晴らしい国なのだということを知ります。
5~7章は欧米の真実は週刊誌っぽい
後半は、欧米諸国の「日本人が知らない真実」が網羅されています。後半5~7章は欧米の真実が中心です。この章は、なんとなく週刊誌的なイメージがあります。ちょっとゴシップっぽい内容と言葉遣いの箇所もあります。
こうした話題が好きな人は息抜きになるでしょうし、あまり好きではない方は、眉をひそめたくなるかもしれません。
けれども真実は真実として、本書などを通して、知っておくのは必要なことです。それはなぜかというと、アメリカ人がフランス人にコンプレックスを抱いている傾向があるように、私たち日本人も、欧米人にコンプレックスだとか憧れを抱いている人が多いからです。
特にイギリス人はみんな上品だと思っています。フランス人はおしゃれでセンスが良いと思っています。ほかのヨーロッパも同様です。ところがこうしたよいイメージだけを持っていると、現実を知ってギャップに驚くことがあるわけです。
最近はユーチューブ動画などで留学した人の実体験などを見られるので、ある程度は真相を聞く機会はありますが、まだまだ基本的に欧米人に対するあこがれは大きいはずです。
第8章は世界の技術について
8章は世界の技術を私たちが「あまりに知らない」という内容です。
まず欧米では高収入の職種を中心に20年以上前からテレワークが続いているということです。日本では、コロナがきっかけになった近年にやっと導入されただけです。もっとも、テレワーク可能な職種は必然的に限られるそうです。
そのほか、コンテンツ市場では日本劣勢ではないという真実が記されています。ポケモンやハローキティをはじめ、アンパンマンはアナ雪に勝っているというから驚きます。
第9章は永久保存版
第9章「世界の重要なニュース」を知る方法です。ここにはどうすれば正確な情報を得ることができるかが羅列されています。これは正確な情報を得るものとして永久保存版にしたい項目です。
著者はどんな方?
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
谷本/真由美
著述家。元国連職員。1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する
さいごに
ちなみに本書には①も出版されていますが、まだ①は読んでいません。→世界のニュースを日本人は何も知らない (ワニブックスPLUS新書)
本書を書店で見つけて知りました。
普段、テレビは真実を告げていないことを知っているので、意識してテレビを見る際は注意をしていました。ところが注意をしていても、そもそも真実が報道されなければ、それを疑う余地すらありません。
本書を読んでそうしたことに気づきました。日本国内での改善点はもちろんありますが、自虐感や不満を持つばかりではなく、世界の現状を知ることで改めて日本のすばらしさを知って、さらにどうすればよいか言動を考える重要性に気づかされました。