「一円玉作るのに3円かかるって知ってる?」(父親らしい人)
「そうなの?」(その子供で、小学生くらい)
というCMを見て、疑問に思ったことがあります。
1円玉は製造コストが3円かかる(お金の額面より製造コストが高い)
・・じゃあ、それ以外のお金はどうなの?
普通に考えて、硬貨は製造コストが額面に比べて高そうです。でも、紙幣はどう考えても、額面に比べて製造コストは低そうですよね。
でも、例のCMでは、一円玉の話しかしていない。だから、子供は「貨幣はモノとしての価値が額面より高い」と勘違いしそうでもあるなあ、と思いました。
まあ、子供とはいえ、CMに出ていたくらいの年齢なら、
「じゃあ、5円は?10円は?・・500円は?・・一万円は?・・あれ?何だか変だぞ」
という具合に、一円のコストの話だけを聞いて、すべてが同じように額面より製造コストが高いのではない・・というところまで考えが及ぶ可能性はあります。
一方で、CMの場面で思考がストップしてしまったとしたら、お金の価値を勘違いしてしまう可能性もありますね。CMの意図はわかりませんが、部分的な話は全体に及ぶわけではないから注意が必要ですね。
それは大人も同じです。お金は、金銀プラチナみたいに、その物に価値があるわけではないし、金銀プラチナにしても、変動は避けられない。少なくともお金をため込んでもそれ自体に価値があるともいえないし、ある程度貯めることも必要。そのバランスをどうとるかが難しくもあり、その人らしさが出るとも言えるでしょう。
ちなみにですが、1円~500円の硬貨は政府が発行しているそうです。製造は独立行政法人造幣局が行っています。同時に造幣局は製造コストの公表は控えているそうです。それはお金に対する信頼性や偽造防止の観点などのようです。
一方で原料は公表されているので、それを市場取引価格で計算すればおよその原価が出るというわけです。そのほか製造コストも追加され推定の製造コストは以下のようになるとされています。
10円までは額面よりも、製造コストが高いですが50円より上の貨幣は製造コストが下回ります。それでも硬貨は額面に対して製造コストの割合が高いですね。
このほか紙幣は(千円札~1万円札)発行しているのは日本銀行です。(貨幣は政府)、印刷は独立行政法人国立印刷局(貨幣の製造は造幣局)だそう。
製造コストですが、やはり公表されていないそうです。ですが試算は可能です。これによると紙幣の製造推定は以下の通り。
1万円札、5000円札、1000円札・・約17円
参考&出典 https://magazine.tr.mufg.jp/90130
が推定される製造コストだそうです。こうしてみると、額面が大きい紙幣になると製造コストの割合は一気に減ります。
1円では、額面に対して約300%の製造コストでしたが、1万円ではわずか(推定)2%程度のようです。
1円玉の製造コストが3円という話を聞くと、子供はお金は金や銀やプラチナなどの現物資産のように、その貨幣そのものに価値があると思ってしまうかもしれませんね。
お金そのものに価値があると思ってしまうと、貯めるのではなく実質的に溜める状態に陥ることがあるでしょう。お金は貯めれば安心できる種類のものではなく、常に生き物を飼うような扱いが必要だと感じます。
生き物は、食欲があったりなかったり、活動的な時間やそうでない時間もある。同時にそれは誰にも読めないものでもありますね。だからといって、檻に閉じ込めておけばよいかというと、ときどき運動させたり、病気をしていないか、変わったことはないかと様子を見てうまくつきあってくものです。
確かに「一円玉のコストは3円」ですが、五百円玉のコストは19.9円だし、紙幣コストは平均17円です。何らかの情報を耳にしたら、部分だけではなく全体やもっと広い範囲で考え直す習慣をつけていきたいです。