
はじめに
実は不安や心配の大半はお金のことという人は多いのです。
本人が意識していなくても、ばくぜんとした不安も実はお金が絡んでいることがあります。
つまり老後のお金のことが解決すれば、大半の不安は解決します。
みんなはどのくらい貯金している?
では、世の中の人は、どのくらいの貯金を持っているのでしょうか。
以下は目安ですが、60代の中央値は700万くらいです。
2人以上世帯の年代別、金融資産保有額の平均値・中央値
年代 貯金額(金融資産保有額)
40代 889万円 220万円
50代 1,147万円 300万円
60代 2,026万円 700万円
70代 1,757万円 700万円
ただ、これは金融資産なので、持ち家などは含みません。
老後資金は個別に検討が必要
老後に大きな支出となるのは家賃や介護費用ですが、金融資産が多くなくても、持ち家を持っていると状況は変わります。
反対に金融資産が多くても、賃貸の場合は支出がかわります。
また、住んでいるところが地方と都会でも支出は変わります。
さらに、その人の生活費もそれぞれです。
生活費が多い人はお金が多く必要ですが、生活費が少ない人は生活費が少なくても暮らせます。
つまり「これだけ必要」という明確な統一した答えは残念ながらありません。
個別に検討していくしかありません。
毎月必要な生活費はいくら?
まず、お金が足りるかどうかを知るためには、毎月の生活費を知らないといけませんよね。
そこで「家計簿」という言葉を出すと、一気にやる気をなくすと思います。
家計簿で管理できているならその数字を。
もし、家計簿をつけていないなら、毎月のお金の黒字赤字で判断付きますよね。
例えば「毎月、2万円赤字で、ボーナスから補填している」ならば、毎月の収入に2万円足した金額が現在の生活費です。
年間の生活費以外の支出はいくら?
必要なお金は生活費だけではありません。
- 慶弔関連の費用
- お歳暮、お中元、年賀状、お年玉
- レジャー
- 帰省、旅行
- 税金
- 車検、点検、修理
毎月の生活費以外のお金も計算します。
老後資金の過不足計算をしよう
老後資金の過不足計算をしてみましょう。
仮に65歳から年金を受け取るとして、まずは収入を計算します。
年金の額は年金定期便で確認できます。
年金定期便に掲載されない年金を確認
ただし年金定期便に掲載されない年金を忘れないようにしましょう。
以下には申告しないともらえない年金もあります。
加給年金
振替加算
私的年金 ・・企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金、国民年金基金、個人年金保険
年金は記載漏れ、持ち主不明などがあるケースもあります。
筆者は数年前まで
- 記載漏れ(年金記録問題時に該当していました)
- 企業年金持ち主不明(企業年金受給資格がなくなったと思っていました)
に該当していました。
現在はどちらも解決しています。
老後のお金を計算
ただしそれぞれ手取り額を考慮して、年金は収入の10〜20%を差し引いた手取り額を想定します。
収入によっては所得税や住民税が発生します。
持ち家の場合は固定資産税などが発生します。
車があれば自動車関連の支出や税金も必要です。
収入
- 年金
- パート、アルバイト、副業(ある場合)
- その他
支出
- 税金、社会保険料
- 住居費
- 医療費
- 車両関係費
- 生活費
- 交際費
- 旅行、レジャー費
- その他
お金の不足をどうするか考える
これらを計算して、毎月のお金の過不足を計算します。
不足する場合はどのように調達するかを考えます。
一般に不足する場合は
- 支出を減らす
- 収入を増やす
- 貯蓄や投資の取り崩し
などで補います。
資金計画を立てるときは6つの係数で計算
- 現在の金額を複利で運用した場合の一定期間後の金額
- 数年後に目標金額に達するために毎月積み立てる金額
などは6つの係数を使って計算します。
以下の計算の係数があります。
ただ、このような計算は複雑なので、一般にはFPに相談したときなどにFPが計算時に使います。
通常は一般の方が自分で計算することはありません。
ただ、漠然としていると思われる将来のお金も、具体的な計算方法があるということは知っておいてください。
- 終価係数・・複利で運用した一定期間後の金額を求める係数
- 現価係数・・一定期間後に目標金額に達するための元本を求める係数
- 年金終価係数・・毎月一定金額を積み立てた一定期間後の元利合計を求める係数
- 減債基金係数・・一定期間後に一定金額を用意するための毎月の積立額を求める係数
- 資本回収係数・・一定金額を一定期間で取り崩した時の毎年の受取額を計算する係数
- 年金現価係数・・一定期間に一定額を受け取るために必要な元本を求める係数
貯蓄や投資の取り崩しの計算方法
「貯蓄や投資の取り崩し」
の場合は、取り崩しの仕方などを検討します。
実際は年金、アルバイトやパート収入だけで足りない場合、貯蓄や投資の取り崩しで補うことになります。
ただしこの場合の取り崩しですが、不足している緊迫した状況なのか、それとも旅行や趣味、余裕のある暮らしの範囲の取り崩しなのか、それぞれにより変わります。
また、個人向け国債や定期預金の取り崩しの場合は、ほとんど元金から取り崩した分が減っていくだけですが、投資で運用しながら取り崩す場合は、取り崩し後の残高は預貯金とは別の計算方法が必要です。
投資をリタイヤ直前に開始するのは危険
投資と貯蓄、貯蓄はともかく、投資は退職金が入ったタイミングなどで開始するのは危険です。
投資を念頭に置くならば、最低でも5年程度の経験を積みましょう。
当然、経験には勉強を含みます。
勉強は、情報商材や怪しいセミナーでの勉強のことではありません。
また、投資と一口に言っても、幅が広いのです。
ここでいう投資とは、最低でも、「新NISAのつみたて対象銘柄を使ったもの」と定義します。
世の中の投資商品には、良くないものもありますがこの範囲は金融庁が認めた銘柄だからです。
ただ、「新NISAのつみたて対象銘柄」でも、組み合わせる分には問題なくても、それをメインで投資するのは注意が必要な銘柄もあります。
その点は注意してください。
また中身は似ていても手数料が割高なものにも注意です。
投資で運用しながら取り崩す場合の計算方法
投資で運用しながら取り崩す場合、計算方法があります。
- 定額取り崩し・・毎月、決まった金額を取り崩す
- 定率取り崩し・・残高の一定の割合を取り崩す
の2種類です。
どちらがいいとか、どちらを選ぶかの判断は、それぞれの状況次第です。
ただ、しいて言えば定率取り崩しにすることで、残高が減るスピードを遅くできます。
また、場合によってはほとんど残高を減らさないことも視野に入れられることがあります。
4%ルールで枯渇しない資産運用は可能?
投資の「4%ルール」は聞いたこととがあるのではないでしょうか。
4%ルールは、アメリカのトリニティ大学の研究チームの発表によるものです。資産運用に関する研究です。
内容は
「毎年、投資元本の4%未満を取り崩すならば、30年以上過ぎても資産がなくなる確率は非常に低い」
というものです。
これは、アメリカの株の成長率が7%、物価上昇率が3%ということをもとに出されています。
「S&P500を中心とした資産運用で得られる利益の範囲で生活できれば、資産が枯渇しないで生活できる」という目論見で成り立っています。
4%ルールを日本に当てはめると?
4%ルールはS&P500などのアメリカ株と、アメリカの物価上昇率が3%をもとに出されている数字です。
これを日本に住む私たちが、受け入れることはできるのでしょうか。
日本銀行が目標としている物価上昇率
物価の先行きを展望すると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025 年度に2%
台後半となったあと、2026 年度は1%台後半、2027 年度は2%程度となると予想され
る。このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2507a.pdf
日本銀行における物価上昇率の目標はおよそ2%です。
米国の株価をもとに日本にあてはめるとした場合は、
7%-2%=5%
なので、5%ルールが成り立つという見方もできます。
また、アメリカ株ではなく、人気のオルカンの場合も、とりあえず成長率をおよそ7%とすれば、似たような判断が考えられます。
4%ルールは目安
ただ、日本に住んでいる場合、オルカンに投資している場合、投資可能期間によっても取り崩しても枯渇しない金額は変わります。
それは正確に読むことができないので、
「日本は5%ルールもいけるかも」
とされていても、安全策を取り、4%やそれ以下の3%などで取り崩すことも検討できます。
またはとりあえず5%ルールで取り崩してみて、1年ごとに様子を見て検討しなおすなども考えられます。
漠然と不安にならず、とりあえずシミュレーションする
老後資金について、漠然と不安になっている人は多いです。
確かにいずれも確証はありません。
けれども数字としての目安を、正確に計算しておくことはできます。
あとはその目安の数字をもとに、それより多いか少ないか、期間、それ以外の資産状況などを考慮して定期的に検討していくようにします。
支出を減らすということも、年老いてから生活レベルを下げるのは難しいです。
日ごろから節約を心がけます。
収入を増やすには一般に働くことになります。
老後は3Kと呼ばれる仕事が多く、最近は主婦の定番だったスーパーレジ打ちもセルフレジが増えて求人は少ないでしょう。
保険の入りすぎを確認
現役世代時に盲点になるのは保険の入りすぎです。
ただし途中解約すると元本割れすることがあり、二の足を踏むことがあります。
まず、保険の見直しの時は、適切な内容で加入しているかを確認します。
必要保証額の計算
①支出を計算
- 末子独立までの遺族生活費
- 末子独立後の配偶者生活費
- その他必要資金(葬儀費用、教育費、住居費、緊急予備費)
②収入を計算
- 社会保障、企業保障
- 保有金融資産
- 必要補償額
意外と忘れがちなのは社会保障、企業保障です。
遺族年金、死亡退職金
などがあります。
必要な補償額はこれらを適切に計算して算出します。
ところが実際に加入するときは、団信加入や社会保障、企業保障を忘れたり知らなかったりします。
そのため過剰に加入していることはよくあります。
また、末子が誕生してから月日が過ぎるごとに必要補償額は減少します。
ところが最大保障額のまま放置していることも、割とあります。
例えば支出のウエイトが大きい住居費ですが、住宅ローンを組み団信加入している場合は住居費がほぼゼロ円になります。
必要な補償額が最大なのは、末子が誕生したときになります。
保険の見直し
保険の見直しが必要な場合、以下の方法を利用することもできます。
保険料の支払いが負担になる場合、払い込みを中止して、その時点の解約返戻金をもとに契約内容を変える方法です。
- 期間を優先
- 保険料を優先
どちらを優先したいかで以下の方法があります。
払い済み保険
保険料の支払いを中止して、解約返戻金をもとにして一時払いで元の契約と同じ種類の保険に変更する方法です。
保険期間は変わりませんが、保険金額が元の契約より減ります。特約も消滅します。
補償期間はそのままで、払込金額を減らすので、毎月の負担が減ります。
延長保険
保険料の支払いを中止して、解約返戻金をもとに元の保険金額を変えずに一時払いの定期保険に変更します。
保険金額は同じですが保険期間は元の契約より短くなります。
特約は消滅します。
必要な生活費は予算建て&メリハリで
老後の生活費について、不安を覚えるのは当然です。
現役時代は、とりあえず会社勤務ならば働いている限り給料が入ります。
人により金額の上下があるにしても、定期的な収入が見込めるのはすごいことです。
ただ、老後は突然訪れるわけではなく、時間を味方にして数年前から準備することはできます。
現在、すでに老後に入っていたり、目前、スタート時でもそれぞれの対策の仕方があります。
うまく余裕をもって準備している人や、すでにゆとりある老後を送っている人を自分と比較して一喜一憂するのは無意味です。
自分の現状を冷静に把握して、今対策できることに集中することが大事です。
まとめ
- はじめに
- みんなはどのくらい貯金している?
- 老後資金は個別に検討が必要
- 毎月必要な生活費はいくら?
- 年間の生活費以外の支出はいくら?
- 老後資金の過不足計算をしよう
- 年金定期便に掲載されない年金を確認
- 老後のお金を計算
- お金の不足をどうするか考える
- 資金計画を立てるときは6つの係数で計算
- 貯蓄や投資の取り崩しの計算方法
- 投資をリタイヤ直前に開始するのは危険
- 投資で運用しながら取り崩す場合の計算方法
- 4%ルールで枯渇しない資産運用は可能?
- 4%ルールを日本に当てはめると?
- 4%ルールは目安
- 漠然と不安にならず、とりあえずシミュレーションする
- 保険の入りすぎを確認
- 保険の見直し
- 必要な生活費は予算建て&メリハリで
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は「60代以降にお金が不足するかの判断の目の安と改善策」という話をしました。参考になればさいわいです。