はじめに
今回は「物が少ない暮らし」を実現する方法についてのお話をします。
「物が少ない暮らし」が良いと考える人は少数派
ミニマリストにあこがれる人は増えました。けれども実は、
「多いほど良い」
と考える人が多数なのです。
「多いほど良い」
という価値観を持つ人はざっくりいうと、年代でだいたい共通する傾向があります。若い年代よりも高齢者のほうが、
「多いほど良い」
と考える傾向にあります。
さらに、その高齢者ですが、それは日本の人口の約3分の一を占めます。日本の人口は約1憶2300万人ですが、そのうち高齢者が占める割合は全体の29%、約3分の1が高齢者です。
つまり少なくとも日本人の3分の1は
「多いほど良い」
という価値観を持っている傾向にあることになります。それに加えて高齢ではない年代でもそのように考える人はいます。となるとやはり最終的には
「多いほど良い」
と考える人が圧倒的多数であるのは、容易に想像ができます。
意識しなければ空気に飲まれて物が増える
そんなわけなので、意識しない限り空気に飲まれて物が増えます。多すぎる物を持っていても、知り合いの持ち物が多ければそれが普通だと思うでしょう。
会話や買い物の様子からも、
「増やす」
「買う」
が当たり前だという価値観が多いので、何も意識しなければ物は増え続けます。
もちろん周りに高齢者でも物を少なく暮らす人もいるし、簡単に
「年齢でひとくくりにするな」
とおしかりを受けることもあるかもしれません。けれども人の価値観は一人一人尋ねるわけにはいきませんから、傾向を年代で推測するとはご了承ください。
「多いほど良い」の価値観の原点
それにしても高齢者が物に対しての
「多いほど良い」
という価値観は、どのようにしてはぐくまれたのでしょうか。
それは戦後物が不足した時代を経て、ようやく日本の経済が右肩上がりで、より多くの物を持つことがある種のステイタスでもあった時代を経験しているからです。それは自然な流れと言えます。
確かに物は不足したら生活しにくくなります。一方で多すぎても暮らしにくくなりますが、物がない時代に生きた方は、その分岐点に気づきにくいのです。
物が少ない暮らしに注目するきっかけとなること
若い年代の人でも、もともとは
「物は多いのに越したことはない」
と考える人は多数いると思われます。
けれども住環境がきっかけになり、物が少ない暮らしを実践したり興味を持つことになったのではないかと思われます。
大手広告代理店の戦略10訓とミニマリストブーム
また、2015~2017年くらいにミニマリストブームが起きましたが、もしこれが仕掛けられたものであるとすれば、大手広告代理店4代目社長の「戦略十訓」のうちの「捨てさせろ」を反映した戦略である可能性も否定できません。
「戦略十訓」
1 もっと使わせろ
2 捨てさせろ
3 無駄使いさせろ
4 季節を忘れさせろ
5 贈り物をさせろ
6 組み合わせで買わせろ
7 きっかけを投じろ
8 流行遅れにさせろ
9 気安く買わせろ
10 混乱をつくり出せ
ただ、当時のミニマリストブームが仕掛けられたものであるとばかりも言えない面があります。
日本経済が低迷しているので変化に敏感な若者を中心に、対策を考えた結果、必然的に偶発的に生まれた時の流れの可能性もあります。
若い年代の多くは、進学や就職で新たに一人暮らしをしたり、結婚で新たにマンションを借りたり買ったりします。
このときに多数が住む東京や近隣の県では、住居費が高く生活費を圧迫します。この時に少しでも住居費を抑えようとした場合、同じ環境でも住居スペースが小さいほど費用が安く済むわけです。
それでやむなく持ち物を減らすことに注目するきっかけになると思われます。
何から物を減らすか
結局のところ、ほとんどの人が多すぎる物を持て余しています。
それではいざ、物が少ない暮らしを実践するとして、何を減らせばよいのでしょうか。
あきらかなるゴミのリスト
意外ですが、実はあきらかなゴミを保管しているために住環境を圧迫することがあります。
具体的には以下のものです。これらは手放してみればあきらかなゴミです。けれども
「必要だ」
と思っているときはそうは見えません。
- 段ボール
- ショップバッグ
- レジ袋
- 包装紙
- 読み終えた本
- 絶対着ない服
- 絶対履かない靴
- 壊れた傘
- 使わない植木鉢
- 枯れた植物
- ほこりが被った絵や飾り
- 使ったことがないお客様用食器
多すぎる洗い替えの布系小物
多すぎる洗い替え品も物を増やします
- シーツ
- 布団カバー
- 枕カバー
- バスタオル
- フェイスタオル
- マット
- ハンカチ
- ふきん
- ダスター
これら自体はある程度必要です。問題は予備が多すぎることです。
例えばシーツの洗い替えが1組ならセーフですが、2~3組も必要かはよく吟味する必要があります。
「子供が小さい!」
「高齢者がいる!」
の場合はもちろん臨機応変に一番良い方法を選択してください。
「お客様用」といういつ来るかわからない人のための多すぎる物
「お客様用」として使わないものを多数ため込んでいる場合は、すぐに自分たちが使うか、見直しましょう。
お客様用として宙に浮いているものは、次のものなどです。
- 食器
- 寝具
- タオル
- スリッパ
- アメニティ
- 傘
- 座布団
お客様が実際に頻繁に訪れるならこの限りではありませんが、来る予定がはっきりしないなら、整理しましょう。
「こんな本を読んだ私」を捨てられない再読しない本
再読しない本でも、読んだ事実を捨てられない場合がありがちです。
本はダニその他の虫を呼びます。読まないならいったん手放して、どうしても読みたければ買いなおせばいいのです。
二度と手に入らない本というのは、まれにありますが、最悪国立図書館で閲覧できます。直接行かなくても最寄りの図書館が取り寄せてくれることもあります。
チケット、パンフレット、は初めから保管しない
映画や観劇、ミュージアムのチケットやパンフレットは、早いうちに処分が正解です。保管していると捨てにくくなります。
私も以前は保管していましたがある時前捨てして以来、帰宅後処分しています。見返すことは少ないものです。
土産物店では残るものを買わない
旅行などに行くと何かを買いたくなりますが、残るものは買わないことです。買うなら消えるものを買います。
食品類がベターです。
昔と違い記念はデジタル媒体に記憶させることができます。映像、音声、画像など。こうしたものがあれば、わざわざ物に頼る必要はありません。
また、通販が発達している今、現地でなければ手に入らないものは多くありません。
物が豊富な時代なのになぜ物欲が消えないのか
「物が少ない暮らし」を実施するには、捨てる以外にそもそもの物欲をコントロールする必要があります。
現代において、自宅に不足している物なんて、実際はそうそうないのが普通です。それでもなお、物に価値を求め、物欲が消えないのはいったいどうしたことなのでしょうか。
物欲をコントロールできれば「物が少ない暮らし」の実現はそう難しくありません。
物欲の正体
物欲の正体をさぐってみましょう。物を衝動的に買いたくなるのはどんなときでしょうか。
- いやなことがあったとき
- 自分をよく見せたいと思うとき
- お金を使いたいとき
- マンネリを解消したいとき
- 丁寧に扱ってもらいたいとき
こうしてみると、衝動的に物を買うとき物欲が刺激されるときは、自分に満たされない気持ちを解消するときが多いようです。
実際はどんなに高価な物を買っても、それ自体が悩みを解消することはありません。自分に自信がないときは、その裏付けがなければ結局何度も同じことを繰り返します。
どうしても物を買いたいとき
物を買ってストレスが解消されることが一時的にはあります。この場合、決して高額な買い物をせず、例えば
ハンカチを買う
のように低額な買い物を一つ決めておくことをおすすめします。ハンカチであれば、まあまあ「何枚あっても(一応)かまわない」ですし、(ブランド物のハンカチは数千円するものもありますが)「1500円以内」のように予算を決めておけばいいでしょう。
買い物で得られるストレス解消の一時的な効果は、一説には金額は関係ないとされます。であれば無理に我慢しないで「ハンカチなら買っても良い」のようなマイルールを決めておきましょう。
ハンカチ以外は例えば
- 靴下
- ふきん
- タオル
- ノート
- ふせん
などもいいでしょう。
ステイタスを求めるなら〇〇に行こう
ステイタスを求めて買い物してしまう場合は代替え法で対処しましょう。例えばブランド物のバッグをついつい買ってしまうとか、デパートでつい衝動買いの服を買ってしまうような場合です。
ブランド物のバッグを持つことで、実際以上に自分をよく見せたいという気持ちや、高級店で店員に丁寧に扱われることに喜びを感じるなどのケースです。
このような場合は、美術館に行くことをお勧めします。美術館の美術品は、たいてい買おうと思っても手が出ない価格です。
ブランド物のバッグもデパートの高額なワンピースも価格的には比較になりません。そこであえて美術館で手が出ない美術品や絵画を見ることで、
「誰も手が出ない高級品を見る私」
という状態を作り、自己肯定感を高めるのです。美術館の入場券や前後のお茶代くらいの費用はかかりますが、ブランド物のバッグや服を頻繁に買うことに比べたらはるかにましな支出です。
また、なんといっても物が増えません。このようにして一度物理的な物を求めないことに少しのお金を使う経験をすることは、物欲を抑える効果もあります。
買う前に手放す
何かを買う前には同じ用途の物を手放します。理想は1つ買うなら2つ手放すことです。1つ買ったら1つ手放すことは流行していますが、今の時代物が多いので同じ数の手放しでは甘いのです。
「少し足りない」くらいが適正量
物の持ち方としては「少し足りない」くらいが適正です。はじめは足りないと思うかもしれませんが、たいていなんとかなります。
例えば大中小のボウルを持たなくても大サイズのボウルがあればことたります。もっと言えば、ボウルを持たずに、手持ちのどんぶりやタッパーを使う方法もあります。
このように「足りない」と感じるくらいでちょうどよいのです。だから1つ買ったら2つ手放すくらいでも十分なのです。
まとめ
- はじめに
- 「物が少ない暮らし」が良いと考える人は少数派
- 意識しなければ空気に飲まれて物が増える
- 「多いほど良い」の価値観の原点
- 物が少ない暮らしに注目するきっかけとなること
- 大手広告代理店の戦略10訓とミニマリストブーム
- 何から物を減らすか
- あきらかなるゴミのリスト
- 多すぎる洗い替えの布系小物
- 「お客様用」といういつ来るかわからない人のための多すぎる物
- 「こんな本を読んだ私」を捨てられない再読しない本
- チケット、パンフレット、は初めから保管しない
- 土産物店では残るものを買わない
- 物が豊富な時代なのになぜ物欲が消えないのか
- 物欲の正体
- どうしても物を買いたいとき
- ハンカチを買う
- ステイタスを求めるなら〇〇に行こう
- 買う前に手放す
- 「少し足りない」くらいが適正量
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は、「物が少ない暮らし」を実現する方法に関する話をしました。参考になればうれしいです。