はじめに
新生活で、新たなまとまった金額の買い物をする機会が多くなります。
今回は、普段はお金にシビアな母が、高額なハンコを購入した時の話をします。
かなり昔の話で私が中学生だった時のことです。(40年前)昔の話とはいえ、現代でも通じる話です。
お金に関してはシビアで、警戒心も強い母がなぜそんな行動をとったのか、私も注意したいと思います。
もくじ
- はじめに
- もくじ
- 「私は大丈夫」はない
- 40年前に親が購入した高額なハンコ
- グレーゾーンはクーリング・オフ阻止対策
- 販売直後、何かに集中させて疑問を抱くスキをなくさせる
- 同時にクーリング・オフのことが浮かんだ
- 40年間、深層心理で「おかしい」と思っていたらしい
- 知らぬが仏
- 本人が満足していればそれでOKなんだろうか
- さいごに
「私は大丈夫」はない
サギとか不当に高額商品を買ってしまう時の背景って、どんな状況があるのでしょうか。
最近はちまたにお金に関する不安の意識が高まっているような気がします。こういう時に気を付けたいのは、不当な買い物を意図せずに買ってしてしまうことです。
「私は大丈夫。」
ほとんどの人は、そう思うでしょう。けれども
「絶対はない。」
のではない。そう思います。たまたま運よく、そういう場面に遭遇していないだけなのかもしれません。
40年前に親が購入した高額なハンコ
最近、思い出したのは私が今も持っているハンコのことです。このハンコは、私が中学生の時母が購入を決めて買ったものです。
私だけではなく、家族全員分(実家の)のハンコを購入しました。そのハンコ自体に問題はなく、物は良いのかもしれません。当時、母は心から満足していたし、良い買い物をしたと思っていました。
購入代金は、実家にしたら不相応な金額で高額だったようですが、現金一括払いで買っていたようです。
それにしても当時、そのハンコ購入のいきさつを母から聞かされた私は、何か引っかかりを感じていました。
でも母が満足しているのだから
「まあ、そんなものかな」
と思ってやりすごしました。
けれども大人になったある日、このハンコ購入の当時のことを思い出しました。そして
やはり、グレーゾーンに気付いたという次第です。
グレーゾーンはクーリング・オフ阻止対策
何がグレーゾーンだったかというと、おそらくそのハンコ屋さんは、当時クーリングオフを阻止するための策を仕掛けたということです。
あくまで推測で証拠はありませんが、状況を思い返してもほぼ間違いないと思います。
購入はハンコ屋さんの奥さんが家に訪問して(突然来たわけではなくて、事前に面識があったようです。)いるので、クーリング・オフ対象の可能性が強いわけです。(母が自宅を指定した場合は別)
さらに当時ハンコ購入後、母からあることを指示(推奨)されていました。それは毎日各自が自分のハンコを紙に一日100回くらいだったかそのくらいの回数を押印する。それを100日(くらいだったかな)続ける・・ということです。
母がハンコ屋さんに教えてもらったそうで、そうすることによって運気が上がるようなご利益があるという理由でした。
言われて
「ふーん?」
と思った私は言われた通り、一応毎朝紙にそのハンコを押し続けました。やっぱり「運」は気になりますから。でもやっぱり何か違和感があったのです。
その違和感が何なのかはわからなかったのですが、その違和感は私の深層心理にずっと保留にされて温存されていたのでしょう。
販売直後、何かに集中させて疑問を抱くスキをなくさせる
そして大人になったある日(と言っても40歳くらいの頃です)、テレビか何かで
「詐欺商法では、相手が詐欺と気付かないように何かに夢中にさせて、考える余地をなくさせようとすることがある」
という話を見たのです。
その瞬間、深層心理にすっかりしまい込まれていた、中学生のころ感じた違和感がふわりと浮かんできました。
それは高額なハンコを購入した直後から毎日100回くらい紙に押印する作業を100日(くらいだったかな)繰り返しました。
これは確かに、押印に夢中になりますから、
「やっぱり返品しようかな?」
とか考える余地をなくすでしょう。
購入直後に毎日100回押印するという作業に夢中にさせて、考える余地を阻止した可能性とも思われます。
同時に返品不可の状況を作った可能性も考えられます。
同時にクーリング・オフのことが浮かんだ
クーリング・オフとは
クーリング・オフとは、契約締結後も一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回、解除したりできる制度です。
クーリング・オフ期間
訪問販売 8日間
電話勧誘販売 8日間
連鎖販売取引(マルチ商法) 20 日間
特定継続的役務提供(エステ・学習塾等) 8日間
業務提供誘引販売取引(内職商法) 20 日間
訪問購入(物品の買取り) 8日間
クーリングオフの制度ができたのは1972年です。母がハンコを購入したのは私が中学生の時なのでだいたい40年前です。1980年以降とすればこのときはクーリングオフが開始しています。
40年間、深層心理で「おかしい」と思っていたらしい
つまりあの時ハンコ屋さんは、母にクーリング・オフを実施させることを阻止するために、あえてあのような方法(100日間押印し続ける)を教えたんだろうな・・ということです。
そう考えればつじつまが合います。これで中学生のときに感じた違和感が、すっと消えてなくなりました。まあ百歩譲って憶測ですが。
私は無意識レベルで40年間違和感を考え続けていたのでしょう。深層心理で答えを探してていたんです。
※ただ、このことは母には言っていません。あれから不当に高額な買い物をしたことはないし、ハンコ自体に問題はないし、40年も過ぎているからです。
知らぬが仏
実際のところハンコの相場はいくらのものだったのかはわかりません。価格相応だったのかもしれませし。
ただ、庶民の実家が買うハンコの値段にしては高額だったし、クーリングオフや返品不可の状態をを阻止するような策をとられていた可能性があるので、不審感があるというだけです。
一番上手な詐欺とは本人が一生、詐欺と気づかないことだともいわれています。このハンコが詐欺というわけではありませんが、少々強引な方法だった可能性はあるでしょう。
同時に当時のことは「知らぬが仏」の見方もあるといえばそうでしょう。
本人が満足していればそれでOKなんだろうか
もちろん、いくら分不相応に高額でも、本人が納得していれば一応、問題はないわけです。けれどもそうとも言い切れない点はあるでしょう。
一般人はハンコの相場や材質を見て判断できません。つまり売る側と買う側に情報量の差があります。情報量の差を悪用して、不当な利益を得るのは問題があります。
情報の差がある状況は、例えば不動産物件を買う場合などがよい例です。
現代は法律で売買の際は重要事項を説明するなどの措置がとられていますから、めったに極端なことはないのかもしれません。
一方で水面下ではハンコの事例のように、情報がないことで買う側が不利益を被っている場面が、まだまだあるかもしれません。
さいごに
普段、お金に関してはきっちりしている母ですが、それでもスキはあるものです。むしろ
「私はしっかりしているから大丈夫」
と思っている人ほど、一度相手を信用するとかえって危険なのかもしれません。当時の状況を反面教師として忘れないようにしておきたいです。
成績優秀でお金にきっちりしている友人が、社会人になってからけっこう高額な着物や化粧品、下着などを契約して買っていたのを知って、おどろいたこともあります。
この場合も本人が納得して買っているわけですから、問題はないと思っていましたが、しっかりしている友人でも、そんなものなのだと痛感しました。
いずれにしても、高額な商品を買うときは
- 複数の店舗を比較する
- 即断しない
- 少し時間を置く
- 調べる
- 信頼おける人に相談する
などでかなり対策をとれるのではないでしょうか。
新生活で新たなまとまった金額の買い物をする機会が多くなります。
参考になればさいわいです。