はじめに
今回は、オルカンやS&P500などの株投資に対して、海外債券投資を組み入れるのはアリ?という話をします。
※投資はご自身の判断で行ってください。
株に暴落は付きもの
オルカンやS&P500などのインデックスファンドでも、中身は株です。つまり相応に常に暴落のリスクがあります。
もちろん、暴落しても長期では成長が前提なので、傍観が鉄則なのは言うまでもありません。また余剰資金で行うことも大事な前提です。
ところが、人生は予想通りにはいかないものです。何らかのきっかけがあり、暴落中に運用の株を売却しなければならないことになるかもしれません。
同時に、いざ暴落してみると傍観できずに特に理由もなく売却してしまうかもしれません。
暴落情報多発
「バフェットがS&P500をすべて売却!」
そのほか、これまで上昇していたアメリカ株が、停滞を見せさらに投資の神様バフェット氏が、「S&P500をすべて売却!」という情報を目にすると、居ても立っても居られない気持ちになる人もいるでしょう。
けれども、バフェットがS&P500をすべて売却というのは、ふたを開けてみるとバフェット率いるバークシャー・ハサウェイのポートフォリオの割合としては、9月時点で0.02%程度とされています。
出典:https://media.rakuten-sec.net/articles/-/47982#google_vignette
バフェット氏がこのような行動をとる理由は諸説ありますが、私たちがバフェット氏の行動をそのままなぞることはまた違う次元の話です。
投資はその人が置かれている立場によっても違うものだからです。ただ、最近はバフェット氏の今回の選択を根拠にした暴落あおりの情報が多めです。
確かに株は暴落と無縁ではいられません。だから常に「暴落する」と思いながら選択するくらいでちょうどいいのは事実です。
けれどもだからこそ、長期投資が鉄則なのですが、いざ株価が低迷すると当初の鉄則を忘れがちです。
バフェット氏の名言
バフェット氏の名言に次のものがあります。
他人が貪欲になっているときは恐る恐る。周りが怖がっているときは貪欲に。
株価が好調な時は、世の中が浮かれ調子になります。一方で暴落しているときは、株のバーゲンセールでもあるわけですが、そのときに買い増しできる勇気がある人は多くありません。
個別株のデイトレのような短期投資を目指していないのだから、「長期で判断すればいい」とわかっていても、いざとなると怖くて売却したり、買い増しなどはとてもできず傍観する(ならまだいいのですが)ことしかできないことが多々あるわけです。
債権と株の値動きの違いを活用する
このように、感情が邪魔をするケースのほか、現実問題もあります。たとえば株化が暴落したとき、株しかもっていない場合は、手持ちの現金を使うか、下落した株を売却する羽目になります。
ところがこうしたときに、債券を保有していることで
- 株が下落
- 債権が上昇
という状態になるので、株を売却せずに上昇した債権を売却して生活費にあてたり、下落した株を購入することができます。(バーゲン価格になった株を買い増しできる)
ただし注意点として海外債権の場合、為替リスクがあります。債権を売却するときの為替がどうなるかはわかりません。
そのため最終的な利益がどうなるかは、はっきり読みにくい面があります。ただ、債券を保有することで極端な資産の減少を減らせる可能性があります。
参考にしたいGPIFのポートフォリオ
特に運用期間が短い中高年層が参考にしたいのは、GPIFのポートフォリオです。
GPIFとは、年金積立金管理運用独立行政法人のことです。国民年金と厚生年金の一割ほどを運用している公的機関です。
GPIFの運用はとてもうまく行われています。GPIFが運用する基本のポートフォリオは以下の通りです。
- 国内債券 25%
- 国内株式 25%
- 外国債券 25%
- 外国株式 25%
さらに、GPIFの運用は、何に連動するものを使用しているか調べてみました。すると、以下の情報が記載されています。
国内債券 NOMURA-BPI「除くABS」
外国債券 FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)
国内株式 TOPIX(配当込み)
外国株式 MSCI ACWI(除く日本、円ベース、配当込み)
出典:https://www.gpif.go.jp/topics/Adoption%20of%20New%20Policy%20Portfolio_Jp_details.pdf
外国債券の指標は「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース)」ということがわかりました。
ということで、同じ指標の投資信託を探してみます。結果見つけたのは、
「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」
です。ただし先進国とありますが、中身は全世界の債権です。
対象インデックスは、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース) とあります。
目論見書を確認してみます。
主要な資産の状況
組入上位通貨 比率
1 アメリカドル 46.6%
2 ユーロ 30.0%
3 中国元 11.4%
4 イギリスポンド 5.3%
5 カナダドル 1.9%
6 オーストラリアドル 1.3%
7 メキシコペソ 0.7%
8 ポーランドズロチ 0.5%
9 マレーシアリンギット 0.5%
10 シンガポールドル 0.4%
出典:eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | eMAXIS(イーマクシス)
先進国といっても実際は中国の債権なども含みますので、気になる方は確認しましょう。
類似の投資信託を比較したところ、こちらのファンドが手数料も安く、注目しました。ただしできたのが最近なので、その点は念のため把握しておきましょう。
さらにこちらは、新NISA成長投資枠で運用できます。
まだ、投資自体を始めていない場合は、初めからGPIFに連動するファンド(iFree 年金バランスなど)を買えば、自動的にリバランスもされます。
ただ、すでに外国株のオルカンなどをすでに買っている場合は、不足してるのは海外債券(ここでは上記FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)に連動するものだけを追加で組み入れることを検討することになります。
ということで、GPIFのポートフォリオをマネすると海外債権は、このファンドを組み入れると類似の組み合わせになります。→eMAXIS Slim 先進国債券インデックス | eMAXIS(イーマクシス)など
全世界債権か、米国債券か
GPIFのポートフォリオでは海外債券部分が、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)ですが、個別に「オルカンかS&P500か」の議論と同じく、「全世界債権か、米国債券か」の視点があると思います。
もう少し米国債券の比率を増やしたい場合は、上記に加えて米国債券の投資信託を追加することを検討することもあるでしょう。
米国債投資信託の例→米国国債ファンド(為替ヘッジ年一回決算型)など
円預金があれば海外債権は不要か?
さらにこのような疑問が起きます。それは海外債券不要論です。第一海外債権は為替リスクがあります。
結論から言うと、個々の考えにゆだねられますが、債券を保有することは大いに検討の余地があると考えます。(少し前の記事と、主張が少し違うかもしれませんが、考えは変わることがあります。ご了承ください。)
例えば筆者は50代後半で、還暦までわずかです。つまり運用できる期間が長くありません。
そのため、円預金だけでは、引き出すとどんどん資産が目減りしますが、債券で運用しながら比較的リスクが低い金融商品を組み入れることで、うまくいけば多少は利益が得られます。
投資信託かETFでかつ新NISA対象銘柄を選ぶ
個人向け国債や円預金と違い、海外債券は所有する資産を売却した場合、そのまま手元に入るわけではありません。為替や税金によっては、利益が変わることがあります。
その辺は手元に取り崩しの時、よく吟味しないといけません。
新NISA開始以降、オルカンやS&P500 などの株式のファンドが話題になります。一方で、リスクを軽減する金融商品である債券はあまり話題に上りません。
けれども、運用期間が短い年齢の人や、大きなリスクを取りたくない人は、債券を運用の視野に入れて検討することがあってもいいでしょう。
ただし、債券でも生債権と投資信託の違いがあります。新NISAで運用可能なのは、投資信託かETFです。生債権は対象外です。
ということで、投資信託かETFでかつ新NISA対象銘柄を選ぶのが良いでしょう。
まとめ
- はじめに
- 株に暴落は付きもの
- 暴落情報多発
- バフェット氏の名言
- 債権と株の値動きの違いを活用する
- 参考にしたいGPIFのポートフォリオ
- 全世界債権か、米国債券か
- 円預金があれば海外債権は不要か?
- 投資信託かETFでかつ新NISA対象銘柄を選ぶ
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は、「海外債権投資を検討はアリ?オルカンやS&P500の株暴落対策になる?」という話をしました。参考になれば幸いです。