はじめに
多くの場合、家計の運営をうまくやるコツはマメさにあります。
ところが新NISAを活用した資産運用の場合は、マメさが裏目に出やすい特長があります。
マメになりすぎることで、200%裏目に出ることさえあります。
極論ですが、新NISAのような長期を前提とした投資は、一度設定したら、とことんズボラに徹するほうがうまくいきます。
新NISAは、マメさが命取りになることも
2024年1月開始の新NISAですが、多くの懸命な方々は、
インデックスファンド
- オールカントリーなど
- S&P500など
を中心に、つみたてや成長投資枠で投資の運用を始めたことでしょう。こうした投資を進めている方は、勉強熱心で堅実に銘柄を選んだことでしょう。
従来の家計管理で懸命な方法はマメであることが最重要項目でした。
例えば・・
- 日々、入出金を記録集計する
- こまめに無駄を見直す
- 比較検討を怠らない
などです。
ところが新NISAの投資を運用するにいたっては、このマメさが命取りになることもあるのです。
長期運用が基本なのに、マメに残高チェックをする理由
新NISAを活用した資産運用のコツは長期の視点で運用することです。当然ですが、残高はその間に変動します。
大きな暴落ほどではないにしても、小さく上がったり下がったりします。だから前提は値動きが変動しても傍観するのが鉄則です。
ところがこれ、わかっていても「マメに」24時間、値動きチェックをすると、穏やかでいられないのが人間の本能です。
特に上がっているときはよいのですが、問題は下がっているときです。途端に
「どうしよう!」
と青くなり、最悪の場合は売却してしまう例も多くあるようです。これは一番まずいやり方です。
筆者の失敗談
実は筆者も投資初期のころに、似たようなことをやってしまった経験があります。
はやり病の初期のころ、暴落した時期がありました。そのときにNISA枠外で積んでいたファンドを不安になり売却してしまった経験があります。
投資を始める前に、急いでファイナンシャルプランナーの資格を取り、正確な知識を取得してから投資を始めました。だから教科書的な知識はありました。
それから間もなく、ほどほど順調に進んでいたのですが、はやり病で暴落しました。
それを見て、いてもたってもいられなくなり、NISA枠外の特定口座の商品を売却に踏み切ったのでした。
その積立は始めたばかりでしたので、5万円ほどのマイナスで売却しました。
当然ですが、それから再びすぐに持ち直し株価は上昇しましたので、典型的な投資初心者が陥りがちな失敗をやってしまったことになります。
ただこのときは、損といっても5万円くらいで済んだので、少々高いとはいえ許容範囲の勉強代になりました。
教科書的知識と、身銭を切る実践的行為は違う
以後は、この時の経験をもとにして、少々(場合によってはかなり)値動きが変動しても放置しています。
このように、ファイナンシャルプランナーの資格を取り、正確な基本的知識があっても、投資初心者のときは、実感と教科書的な知識はまるで違うのです。
自分のお金を実際に身銭を切って動かすことで感じることは、絵に描いた餅とは全然違うということです。なぜかというと、それは生身の人間だからです。
けれども今にして思えば、投資初期に、このような絵に描いたような投資初心者の失敗をやらかしたので、良いタイミングでした。
もしあのとき暴落を経験していなければ、もっと残高が増えてから売却するという愚かな行為をやっていたかもしれません。
一度経験すると、投資はどういうことかを体で理解できる
このように、一度ネガティブな経験をすると、頭ではなく体で理解できます。投資というのは、頭ではなく体で経験して実感する要素があります。
実際にお金を動かすと、自分というものがより理解できます。
よく「ほったらかし投資」と言われますが、言葉を頭で理解しても、体が理解していないということは普通にあります。
頭は「冷静にほったらかしていい」と理解していますが、体は本能で不安と恐怖を感じ、最終的には体が感じることを優先してしまうことがおきるのです。
マメな人は、値下がりしている状況に気付いて反応してしまう
マメな人は、値動きが下がっていることを敏感に察します。結果として
「対策をとらなくてはいけない」
と考えてしまいます。
ところがこの場合の正解とは
「何もせずに放置する」
です。つまりズボラに徹することです。
放置していればそのうち値動きは戻り、少しずつまた小さく上下をしながら上昇するだろうという見込みで運用します。
もちろんタイミング的には、7~8年~10年に一度くらいのタイミングで、リーマンショックや流行病ショックのようなことが起きるでしょう。
ただ、この場合でも基本的にまた、いずれは持ち直すのが普通です。ただ、持ち直すまでの期間が読めないので、その時期にお金が必要なタイミングがあると大変だから、安全資産も併用する必要があるということです。
実際は常に細かく値動きは上下するので、大きな流れでは上昇していくスタイルが基本です。
私たちが選択する投資とは、デイトレではなく、長期運用で利益を目指すスタイルです。
資本主義が続くという前提で投資をしますので、細かい値動きを気にしてもしかたないのです。
虎の子を投資に丸投げしてはいけない
このように、投資は安全資産と併用することが大事です。有り金全部を投資に回してはいけません。安全資産とは、通常の銀行預金などです。
虎の子は虎の子として、増やす資産とは別に確保しておきましょう。そうすれば最悪、投資で全滅することはありません。
投資割合の目安
それで肝心なのは投資割合というわけです。あくまで目安ですが、年齢で投資割合を決める方法があります。
一般には「100-年齢」が投資割合としての目安とされています。例えば現在、40歳の人であれば、投資割合は6割です。50歳の人は5割、60歳の人は4割という具合です。
ただ、実際はその人のお金の状況や考え方で大きく変わります。
例えば預貯金が多い人は、このような投資割合を目安にできますが、預貯金が年収以下のような場合、投資割合は目安より低く抑えたほうがいいでしょう。
まとめ
- はじめに
- 新NISAは、マメさが命取りになることも
- 長期運用が基本なのに、マメに残高チェックをする理由
- 筆者の失敗談
- 教科書的知識と、身銭を切る実践的行為は違う
- 一度経験すると、投資はどういうことかを体で理解できる
- マメな人は、値下がりしている状況に気付いて反応してしまう
- 虎の子を投資に丸投げしてはいけない
- 投資割合の目安
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は「なぜ、新NISAの残高チェックを、24時間こまめにすると資産を増やせないのか。マメな性質が200%裏目に出るパターンとは。」という話を筆者の体験を加えて紹介しました。参考になれば幸いです。