はじめに
地方出身者の人にとっての悩みの種は、帰省費用の負担が大きいことです。費用だけではありません。
宿泊を伴えば、時間がかかり、相手と過ごす時間が増えるので心理的な葛藤も発生します。
今回は、帰省の必要性についてのお話です。賛否両論あると思いますが、考え方の一つとして、生暖かく読んでいただければと思います。
帰省をする背景
帰省は主に、地方出身の人が、個人や家族を伴って、お盆と年末年始の年回ほど実家などに宿泊を伴う訪問をすることです。
この場合、状況は以下があります。
- 本人、または自らがのぞんで帰省する
- 親が望むから帰省する
- 必要な事情があって帰省する
重複する場合もありますが、およそこのような感じでしょうか。
1・本人や自分の家族が帰省をしたくてしている場合は、あまり問題ないかもしれません。あとは費用と宿泊の環境の調整だけだからです。
2・このケースは割と多いでしょう。本人や家族の本音は帰省したくなくても、親が心待ちにしている場合、高齢であることもあり、帰省するケースです。
3・「1,2」どちらでもなくても、事情があり帰省するケースです。たとえば高齢の親では対処できないことを、帰省ついでに子世帯が処理を兼ねて帰省するなどです。例えば事務手続き、大物購入、リフォームの段取りなどです。お墓に関することもあります。病院がらみもあります。
「親が望むから帰省する」が子世帯の本音は帰省したくないケース
心理的な事情で帰省したくないケース
ここからは『「親が望むから帰省する」が子世帯の本音は帰省したくないケース』の話をします。子世帯が帰省を減らしたい場合、実家、義実家でも状況が変わります。
特に多いのは、夫の実家に妻が行きたくない本音があるケースです。男性は帰省をしても基本的にお客様でいられ大切にされます。一方で既婚女性は個人差がありますが、既婚の場合は特に、夫の実家での立場は複雑なことが多いようです。もっとも、義実家の両親が良い人でも、気疲れするのには変わりありません。
そのほか、女性で既婚で自分の実家であっても、親の対応が年とともに癖が強くなる傾向にあり、それが心の負担になり「帰省したくない」になることもあります。
時間的な負担で帰省したくないケース
帰省をする地方出身者は、それだけで大型連休がほぼ消えます。同時にお金もかなり使います。帰省以外に休日を十分に得られる人はまれです。
にもかかわらず、やっと訪れた連休が帰省で消えてしまうと、旅行にもあまりいけません。
それでも帰省は既婚で開始すると、ほぼ恒例になります。それで帰省をしないと、ときに親から圧力がかかるケースもあります。面倒だから結局帰省するということの繰り返しになっていることもあります。
金銭的な負担が大きいので帰省したくないケース
シンプルに帰省は移動費用が掛かります、新幹線、航空、レンタカー、ホテル代などです。お金が問題だけなら、ある意味簡単です。
ひとつは実家に、お金が理由で帰省できないことを告げればいいし、お金ができたら行けばいいからです。
ただ、お金が理由で帰省しないと告げることで、親が
「じゃ、費用を出すから来て。」
と言われるケースも想定できますから、そうなるとかえってややこしくなります。
現実的に、この場合は何らかの別の理由を口実にすることでしょう。
地方の親が子世帯の帰省を待ち望む理由
そもそもですが、地方の親が子世帯の帰省を待ち望む理由などこにあるのでしょうか。子世帯が来るのはもちろん、うれしいとしても、高齢であれば身体的負担は大きいはずです。
もちろんシンプルに肉親と会いたいという気持ちは理解できます。けれども人には二通りの傾向があります。
- 肉親を中心としたネットワークを実感して、自分の存在意義を確認して安心するタイプ
- 肉親を無視しているわけではないが、個人の生き方を追求するタイプ
多くの場合、地方の高齢者の場合、「1」の人は多いと思われます。つまり子世帯が帰省してくれることが、自分の存在意義を確認出来て安心できるわけです。反対に子世帯が顔を見せなくなると、不安で仕方がなくなることがあるでしょう。
恒例のルーチンに安心できる
例えば私の親の場合ですが、地方住み人の基本的な傾向として
- 変化を猛烈に嫌う
- 恒例行事に安心する
- 世間体を、えらく気にする
傾向が大きくあります。ですので、年2回子世帯が訪問してくれることで、安心できるという背景があります。
また、近所の目をかなり意識しているので、子世帯が帰省したという事実を近所に知ってもらうことで「私には来てくれる身内がいて、大切にされている」と思われていそうなことが、一種のステイタスになっている面があります。
独身者の帰省には期待も強制も強いない謎、と考えられる理由
既婚の場合は、帰省をしないと角が立ち、かえって面倒なことがあります。一方で同じく子供であっても、独身者の場合は不思議にそれほど帰省を気にしない傾向がくにあるようです。
その理由は以下のことが考えられます。
- 独身者で学生などの若年層の場合は、近所も気にしない
- 独身者で結婚してる年代を過ぎると、注目されたくない
独身者でも、学生などの若年層と、一般的に結婚していそうな年齢か否かでも対応が変わるように思えます。
例えば学生の場合は、結婚はまだ先のことであるのは明白だから、近所も気にしないという背景が考えられます。
また、独身者でも一般に結婚してそうな年齢を過ぎている場合、親も世間体が気になるので、帰省で近所に思い出して話題にされたくないという背景があるケースがあります。
帰省の負担を減らす方法
様々な背景がありますが、帰省の負担を減らすにはどうしたらよいのでしょうか。それには以下の方法が考えられます。
帰省の時期をずらす
帰省の時期をずらすことで、新幹線、航空の費用を割安にすることができます。また、実家のご近所さんも仕事でいないなどで、チェックされにくくなります。
帰省の回数を減らす
これまで年に2回帰省していた場合、年1回にするとか、2年に一回は年1回にするなど、少し訪問回数を減らすことを実施してみます。
帰省の滞在日数を減らす
これまで3泊していたところを2泊~1泊~日帰りにするなど、滞在日数を減らしてみます。
例えば私の場合ですが、数年前子供が小学生くらいまでは3泊ほどしていた帰省を、中学生くらいから2泊→1泊と減らしました。
ただし当初の親の反応は悪く、嫌味を言われました。けれども徐々に慣れていったようで、かえって
「楽でいい。」
というようになり受け入れました。
帰省に参加する家族を減らす
子供の成長に伴い、親元を離れた子供が祖父母宅に帰省しないとか、高校生になった子供が受験勉強や部活を理由に帰省しないなど、帰省する家族を減らすことも考えられます。
また、場合によっては幼少を理由に、生まれたばかりの赤ん坊と母親(妻)が帰省しないなども考えられます。
健康上の理由で帰省しない
本人や家族の健康上の理由で帰省しないことも検討できます。無理すれば何とか帰省できるとはいえ、身体的に負担が大きい場合は、無理をしないことも検討できます。
例えば私は現在50代半ばですが、数年前の病で体力が激減しています。それに加えて帰省は時間的な問題のほか、心理的な負担とストレスが非常に大きいのです。
片方が帰省を望んでいても、片方が望まないなら仕方がないこと
実のところ、帰省は行くほう、迎えるほう、どちらかに優劣がある傾向にあります。一般的に親が子世帯に来てほしいか否かが、帰省の有無を左右するようです。
けれども今の時代、優劣ではなく、お互いに行くか行かないかの判断は、対等であるべきです。どちらかの希望を優先するのではなく、お互いの希望と本音のバランスに合わせることが大事です。
もちろん、地方に住む高齢の親を置き去りにしていい、という意味ではありません。ただ、親であり、高齢でも圧が強い人はいるものです。
例えば親が
「帰省してほしい」
と考えていても、行きたくない、もしくは行けない、と考える子世帯が考えるのであれば、それを実行することに罪悪感を感じたり、不満を抱くのではなく、お互いのちょうどいい妥協点を探すことが必要です。
まとめ
- はじめに
- 帰省をする背景
- 「親が望むから帰省する」が子世帯の本音は帰省したくないケース
- 地方の親が子世帯の帰省を待ち望む理由
- 独身者の帰省には期待も強制も強いない謎、と考えられる理由
- 帰省の負担を減らす方法
- 片方が帰省を望んでいても、片方が望まないなら仕方がないこと
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は、負担が大きい帰省についての話をしました。地方出身者は、連休ができても年に2回ほど地元に帰らなくてはならない慣習があります。
お互いが喜んでそれを実行しているならよいのですが、そうではないこともあります。すると帰省は、費用、時間、精神的な負担が大きく、悩みと迷いの種になることがあります。
そこで帰省の負担を感じる場合は、期間を短縮したり、時期をずらしたり、頻度を開けるなどで、少しずつ負担を減らすこともできます。
どちらかの希望を無条件に優先するのではなく、お互いの気持ちと事情を知り、双方の妥協点を知ることが必要です。
参考になればさいわいです。