はじめに
今回は新学期を目前に控えているため、教育資金の貯め方のお話をします。
もくじ
- はじめに
- もくじ
- 教育費の目安
- 教育資金の基本的な考え方
- 早期に教育資金をかけすぎない
- 早期に教育費をかけるメリットとデメリット
- 教育資金を計画する5つの方法
- 1・貯金で準備する
- 2・新NISAなどの投資で用意する
- 3・こども保険(学資保険)で準備する
- 4・教育ローンで準備する
- 5・奨学金で用意する
- 日本学生支援機構とは
- 貸与型奨学金
- 第二種奨学金と教育ローン選択の違い
- 6.番外編
- まとめ
- さいごに
教育費の目安
お子さんの成長はうれしいものです。誕生日や進級するたびに、成長の喜びをひしひしと感じて感慨深いものがあるでしょう。
けれども喜びと同時に教育費という現実が押し寄せてきます。それでは子供の教育費はいくらくらいかかるのでしょうか。
幼稚園から大学卒業にかかる教育費はどのくらいでしょうか。我が子をすべて私立に入れたいと考える前に、まずは金銭的に可能かどうか現実を確認しましょう。
文部科学省のデータによると、
幼稚園から大学卒業まですべて私立の場合、費用は2300万ほどとなります。
一方ですべて公立の場合は、780万ほどです。
その差は1500万ほどがあります。しかもこれは、子供一人分の費用です。子供が2人以上いれば費用はその2倍、3倍とかかります。
出典:文部科学省 教育投資参考資料集
さらにこちらのデータには、住居費は含まれていません。
- 自宅外通学
- 私立理系
- 大学院進学
などであればさらに費用はかかります。
教育資金の基本的な考え方
親は誰しも子供に期待をします。願わくば、高い偏差値の大学などを卒業してほしい。これが最終的な教育の目標だと仮定します。
ただし大学卒業を完了させるには、本人の学習意欲のほか教育資金という現実が立ちはだかります。
親が十分な資金を用意できれば良いのですが、大多数の場合は何らかの工夫や努力を事前に実行しなければ、実現が難しくなります。
早期に教育資金をかけすぎない
親が、十分な資金を持ってない場合は、前提として早期に多くの教育資金をかけすぎないことが不可欠です。
通常の場合、幼稚園から中学校までは比較的教育費を抑えることが可能です。もちろん、この期間でも、教育費をかければ際限がありませんが。
十分な資金力がある場合を除き、この時期は教育費の比重を抑えて高校~大学の教育費を温存するようにつとめましょう。
例えば、有名私立幼稚園に入学や有名私立小学校に頑張って入学にほんろうしたとします。十分な資金力がないままに、早期に教育資金を使ってしまうと、後が大変です。
最終目的が大学卒業であるならば、のちに確実に必要な高校以上~大学卒業までにかかる資金に比重を置かないと、ゴール前に資金切れになるおそれがあります。
早期に教育費をかけるメリットとデメリット
早期に教育費をかけるメリットとデメリットをお話しします。
早期に受験する(幼稚園、小学校)メリット
早期に幼稚園、小学校などに受験して入学すると、内部進学できるメリットがあります。
付属の幼稚園や小学校に合格すると、高校や大学に内部進学できることが多いので、以後、受験の負担が減ります。
一概に言えませんが、一つの見方として、幼稚園受験は子供よりも親の力量による比重が多いでしょう。
つまり早期の受験は、将来、子供の学力が低くても親の力量でそれを回避できるチャンスでもあるわけです。
また、資金に余裕のある親の子供が集まるので、教育意識が高く、学級崩壊があるような学校とは距離を置くことができる点です。
受験がほぼないので、時間の余裕とゆとりができることも挙げられます。
また、教職員がほぼ変わらないので、一定した独自の校風に良い影響を受けることもあるでしょう。
早期に受験する(幼稚園、小学校)デメリット
デメリットは何といっても費用が掛かることです。内部進学で多様な人に会う機会が減ります。
同じような環境に長くいるため多様な価値観に子供を触れさせる機会も減ります。
また、内部進学のデメリットの側面が表面化するケースがあるでしょう。内部進学自体はメリットもありますが、デメリットもあるわけです。
例えば、受験の機会がないために勉強がおろそかになったり、教職員が一定しており変わらないなどです。
学級崩壊などの、わかりやすい乱れた環境はほとんどないかもしれませんが、水面下ではどうなのかはわかりません。
例えば、ある皇族の方でさえ、学校に長らく母親が付き添っていたほどです。そのほか、長く同じ人間関係を続ける環境のストレスなどもあるかもしれません。
※ただし何をもってメリット、デメリット、「多様な機会」と解釈するかは、人それぞれです。メリット、デメリットはそれが逆転することもあります。 相性や運もありますので何がベストになるかはわかりません。
教育資金を計画する5つの方法
教育資金の準備をする方法を紹介します。大きく分けると
- 貯金
- 投資
- 保険
- 奨学金
- ローン
があります。
1・貯金で準備する
一番シンプルな方法です。貯金で準備をします。この場合、定期預金、定期積金などの通常預金のほか、個人向け国債の利用もあります。個人向け国債の場合は10年満期変動ものがよいでしょう。
この方法の場合、増やすことはほとんどできませんが、手堅い貯金としてベースにしましょう。
またお祝い金、子供手当などを貯金することもできます。
2・新NISAなどの投資で用意する
新NISAなどの投資で積み立てをしていくスタイルです。積み立て投資枠などを利用します。
あくまで投資なのでリスクはありますが、インデックスファンドなどベンチマークに連動しているタイプなどを利用して、少しずつ増やしながら教育費を用意するスタイルです。
お祝い金、子供手当などを充てる手もあります。
3・こども保険(学資保険)で準備する
こども保険(学資保険)で準備する方法です。
民間の生命保険会社や損害保険会社で扱っています。ただし最近は利用者が減少の傾向にあります。
こども保険は次の特徴があります。
こども保険の特徴
- 契約者の親が死亡、高度障害となったとき、以後の保険料を払わず、満期保険金や入学祝い金を受け取ることができます。
- 親の死亡後に年金(育英年金)が支払われるものもあります。
こども保険のメリット
- 解約しにくい。
- 親に何かあっても教育資金を用意できる。
- 満期まで続行すれば、計画した保険金を受け取れる。強制力がある。
- 節税効果がある。学資保険は生命保険料控除対象です。
保険を解約するには一定の手続きが必要です。そのため解約しにくく、貯蓄として強制力が働きます。親に何かあっても子供に教育資金を提供できます。こども保険は生命保険料控除の対象のため節税効果があります。
こども保険のデメリット
- 換金しにくい。
- 中途解約すると元本割れすることがある。
- インフレリスクがある。
保険は解約に一定の手続きが必要なので、急にお金が必要になってもすぐに現金化できません。
中途で解約すると元本割れすることがあります。
日本は長らくデフレですが、インフレリスクも視野に入れておく必要があります。
もしインフレが起きていると、契約した18年前の満期金100万円と、18年後の100万円とでは実際の価値が変わっています。このようなことも想定しておく必要があります。
4・教育ローンで準備する
ローンで用意する方法です。教育ローンには
- 公的ローン
- 民間ローン
の2種類があります。
公的ローン
公的ローンには、教育一般貸付があります。
教育一般貸付の内容(公的ローン)
- 融資限度額 学生1人につき350万円・一定の条件下では450万円
- 融資金利 固定金利 令和5年10月時点年2.25%
- 融資期間 最長18年
- 保証 公財)教育資金融資保証基金または連帯保証人から選ぶ
- 融資元 日本政策金融公庫
- 資格 世帯年収の制限(子供の数で変わる)がある
民間教育ローン
民間の教育ローンは、公的ローンと比べて金利は高めです。
一方で借入上限額は高額に設定されています。金利は年2~5%が一般的です。
5・奨学金で用意する
奨学金で用意するスタイルです。
ちなみに奨学金の種類は以下の通りです。大きく分けて
- 返済不要の奨学金
- 返済ありの奨学金
があります。
「返済が必要な奨学金」は
- 無利子
- 利子付き
の奨学金があります。
新奨学金制度
代表的な奨学金制度として
- 日本学生機構の奨学金制度
- 教育一般貸付
があります。
日本学生支援機構とは
JASSOという名称を目にすることがあるかもしれません。これは「日本学生支援機構」のことです。「Japan Student Services Organization」の略称です。
「日本学生支援機構」は、文部科学省が管轄する独立行政法人です。
「JASSOの三事業」は、
- 奨学金事業
- 留学生支援事業
- 学生生活支援事業
です。
日本学生機構の奨学金の種類
奨学金といっても、その内容は
- 返済不要
- 返済必要
に大きく分かれます。
返済不要の給付型奨学金
返済不要の給付型奨学金は文字通り奨学金です。給付型奨学金は、新制度であり2020年4月1日に開始しました。
この給付型奨学金は、経済的理由で進学をあきらめないことを目指しています。
基準を満たしていれば、成績の判断に限定せず、「学ぶ意欲」があれば支援を受けられます。
返済不要の給付型奨学金は、2020年に新制度開始で、
- 家計
- 学力
の基準が緩和されました。
- 家計の基準 (旧)住民税非課税世帯のみ→(新)住民税非課税世帯もしくはそれに準ずる世帯
- 学力の基準(旧)①全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上→(新)①全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上・もしくは②「将来、社会で自立し、活躍する目標をもって学修する意欲を有すること」のいずれかに該当すること
※注意点:進学後に条件を満たさなくなると、途中で給付の停止、廃止もある
給付型奨学金の支給額
給付型奨学金の支給額は以下の通りです。
- 自宅通学/自宅外通学
- 高等専門学校/大学、短期大学、専門学校
- 国公立/私立
で支給額が変わります。
出典 日本学生支援機構(JASSO)
給付型奨学金の対象者であれば、別途申し込みで授業料、入学金の免除・減額
を受けられます。
出典 日本学生支援機構(JASSO)
貸与型奨学金
貸与型奨学金は連帯保証人(原則として父母またはこれに代わる人)及び保証人(原則として4親等以内の親族で本人及び連帯保証人と別生計の人)が必要です。
保証人がいない場合は、保証料を支払うことで、「機関保証」への切り替えができます。追ただし加保証料が発生するので人的保障時より返済の負担が増えます。ただし、この場合でも民間ローンより負担は少なくて済みます。
上記の給付型奨学金に対して返済が必要な奨学金
- 無利子・・第一種奨学金
- 利子付き・・第二種奨学金
があります。
第一種奨学金(無利子)の決まり方
第一種奨学金は利息がありません。
- 家計基準
- 学力基準
- 申し込み資格
などがあります。
第一種奨学金(無利子)は、新制度の支援区分により、貸与の金額に制限があります。
第二種奨学金(有利子)の決まり方
第二種奨学金は利息が付きますが在学中はかかりません。卒業すると利息支払いがはじまります。
利率固定方式で貸与終了時に決定した利率が、返還完了まで適用されます。将来、市場金利が変動しても、利率は変わりません。
利率の算定方法は
- 利率固定方式
- 利率見直し方式
があり、選択できます。
利息は最大3%ですが、実際の貸与利率は、2023年7月で
- 利率固定方式0.637%
- 利率見直し方式0.090%
です。現状の場合、実際は最大の3%よりもかなり低い金利になっています。
第二種奨学金(有利子)は、希望する額の利用が可能です。(新制度の制限はなし)
要件を満たす人は全員が支援を利用できます。大学等ごとの人数制限(推薦枠)もありません。
第二種奨学金と教育ローン選択の違い
第二種奨学金と教育ローン選択の違いですが、
- 第二種奨学金・・本人が借りる
- 教育ローン・・親が借りる
・・が大きな違いです。金利は第二種奨学金が低いですが、学生のうちから返済が必要な実質ローンを抱えることになります。
返済しなければならない奨学金のほうは、実際のところは金利が低いとはいえローンです。必要最低限を借りるようにします。
見込み通りに卒業後に、収入を得て返済を滞りなくできればいいですが、うまくいかずに返済が社会人になった直後から大きな負担となっている例が多く見受けられます。
そのため、奨学金という名称に錯覚を起こさず利用する際は、ローンであることを強く自覚する覚悟が必要です。
6.番外編
教育資金の準備法と貯め方番外編です。1~5の項目では一般的な方法を紹介しました。
そのほか、以下の方法で資金を増やすことも考えられます。
副業、アルバイトなどで教育資金を増やす
親や本人が収入を増やすことで教育資金を増やす方法です。
高校生以上の場合、本人がアルバイトをすることができる場合は、検討の余地があります。
ただしこの場合、アルバイトが負担になり、肝心の学業や学生生活に支障をきたすおそれがあります。体力や時間などのバランスをうまくとる必要があります。
そのほか、確実に成果が出るとは限りませんが、
- ブログ
- ユーチューブ
- キンドル出版
- エックス
- インスタグラム
- ボイシー
- note
など副業を、隙間時間で実行しても良いでしょう。収益化の道のりは決して楽ではありません。けれども実際に始めてみたら思わぬ効果が出ることもあります。
こうした副業を実際に初めて見ると、閲覧者や読者側だったや受け身の時とは違う視点が得られます。何かを発信すると自然に情報に敏感になります。
いずれも開始するのには、無料、もしくはわずかな初期投資で始められます。
始めること自体には何のリスクもありません。(基本的なプライバシーを守る方法などは必須です。)
本人が始める場合、収益化には年齢制限がたいていありますが、(18歳以上など)隙間時間を利用して初めておいても良いかもしれません。
まとめ
各項目はリンクになっていますので、タップしてもらうともう一度読みたい記事に戻ることができます。
- はじめに
- もくじ
- 教育費の目安
- 教育資金の基本的な考え方
- 早期に教育資金をかけすぎない
- 早期に教育費をかけるメリットとデメリット
- 教育資金を計画する5つの方法
- 1・貯金で準備する
- 2・新NISAなどの投資で用意する
- 3・こども保険(学資保険)で準備する
- 4・教育ローンで準備する
- 5・奨学金で用意する
- 日本学生支援機構とは
- 貸与型奨学金
- 第二種奨学金と教育ローン選択の違い
- 6.番外編
- まとめ
- さいごに
さいごに
今回は、春の進級、進学シーズンを目前にした今、
「教育資金の準備法と貯め方5つ」
という話をしました。
教育資金は想像以上に多くのお金がかかります。計画的に用意しながら情報を収集することが欠かせません。
参考になればさいわいです。